マヤ暦(の一解釈)によると「世界は2012年12月21日に終わる」ということで、2012年の12月は終末論がテレビなどを賑わしていました。何ともお騒がせなマヤ暦ですが、この暦を作ったマヤ文明は古代文明の例に漏れず、天体の運行を正確に観測していたようです。中でも、地球と金星との会合周期を584日としていて、現代の観測による583.92日とほぼ一致することが知られています。金星は夕刻と明け方によく見えるので、観測もしやすかったことでしょう。実際の空の様子をシミュレートしてみると、面白い動きをしていることがわかります。
ステラナビゲータでのシミュレーションは、以下の設定で行うことができます。
- 「日時設定」ダイアログで「時刻の固定」、「日の入り後30分」に設定
- 「視野」メニューの「方位」で「西」を選択
- 「太陽・月」ダイアログで、太陽と月を非表示
- 「惑星」ダイアログで、金星以外の惑星を非表示
- 「設定」メニューの「光跡残し」で「常時残す」を選択
- 「設定」メニューの「アニメーション」にある「設定」で、「指定した時間間隔」を「1日」に設定し、「アニメ実行」をクリック
「コンテンツ・ライブラリ」(
)にも「金星の8年周期」のアニメーションがありますので、インストールして実行してみてください。さらに、観測地をマヤ文明のあった中米に、時期を8世紀ころにすれば、正にマヤの天文学者たちが観測していた金星の動きを再現できます。マヤ人は、複雑だが規則的に繰り返される動きを丹念に観測していたのでしょう。人間には、周りの世界から規則性を見出そうとする欲求が本能的に備わっているといわれていますが、膨大な観測結果から導き出されるこの金星の動きの優雅さに、マヤ人はどんな思いを馳せていたのでしょうか。そんなことを考えながらステラナビゲータのシミュレーション画面を見ると、宇宙の神秘についてマヤ人たちと時を超えて共感できるような気がします。