今回の皆既月食について
全国で見られる好条件の皆既月食今回の皆既月食は、天候という条件さえ考えなければ、条件もよくかなり見応えのある現象となるはずだ。 月食は日食と違って、全国どこから見ても同じ時刻で食が進行する。 そのようすは次のとおりだ。
部分食が始まる 16日20時57分
皆既食が始まる 16日22時02分
皆既食の最大 16日22時56分
皆既食が終わる 16日23時49分
部分食が終わる 17日00時54分月がかけ始めてから皆既食になるのに1時間05分、皆既の継続時間が1時間47分、そして、月がもとの満月に戻るまでさらに1時間05分かかる。 最初から最後まで見ると約4時間という長丁場になるわけだ。
国内ではすべての地域で本影による食の最初から最後までを見られる。 しかし、白道の関係で夏の満月は他の季節と比べてあまり高く上らないので、月の地平高度的には南の地方ほど条件が良くなる。 ちなみに那覇では、食の最大時での月の高度は36度あるが、東京では31度、札幌では24度ほどとなる。また、薄明の終わる時刻は北日本ほど遅くなる傾向があり、北海道では欠け始めの時刻にわずかだがまだ薄明が残るという状況だ。
今回の月食で特に注目したいのは、その皆既継続時間だ。 前述のとおりなんと1時間47分もあり、全経過の半分近くが皆既ということになる。 これは皆既継続時間の最長レベルに近く、それだけ、皆既をじっくり楽しめるわけだ。
ところで、7月16日の次の皆既月食は、ここ10年の月食供給不足を補うかのように、半年後の2001年1月10日に見られる。 ただし、条件は今回ほどはよくない。 未明に月が西空に傾いてからの現象となるため、皆既継続時間は1時間ほどあるが、復円する前に日の出を迎えてしまう。 日本ではその後、2004年、2007年、2010年と皆既月食がおきるものの、月出帯食や月没帯食であり、好条件で全経過を見ることができない。 したがって今回の月食は、近年では貴重な天文現象といえる。 天候だけはどうにもできないが、じゅうぶんに準備を整えて当日を迎えてほしい。
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