宵の明星・金星
金星を観察しよう
金星を眺めるには
金星が西の空でもっとも高く輝く2009年1月には、地平線からの高さがおよそ30度になります。金星が沈むのは9時すぎで、それまでは(西の方向が開けた場所なら)楽に見つけることができるでしょう。
太陽が沈んでいる限り、金星が昇っているのなら探すには苦労しないはずです。明けの明星として輝いている時期なら東の空、宵の明星なら西の空を見るだけです。肝心なのは、「今金星が見えるのは宵なのか明け方なのか、それとも太陽に近くて見えないのか」をあらかじめ知っていることです。
毎月の金星の位置は、アストロアーツホームページの「星空ガイド」や月刊天文雑誌「星ナビ」(解説図が充実しています)で調べることができます。
もちろん、天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ Ver.8」を使えば、好きな日時の星図を簡単に表示できます。「天体グラフ」で金星の高度や明るさの移り変わりをグラフで表すことも可能です。ステラナビゲータをお持ちの方は[ツール]−[天体グラフ]とたどって試してみてください。
金星の動き
今年の夕方に金星がどのあたりに見えるか、ステラナビゲータVer.8で再現しました。観察するときの参考にしてください。
ちなみに、太陽の東側にもっとも遠ざかる(東方最大離角)となるのは2009年1月15日。ただし、太陽−金星の地平線に対する傾きが変化するので、一番高くなるのは1月下旬ごろです。最大光度を迎えるのは2月26日で、マイナス4.5等で輝きます。3月25日に内合を迎え、秋ごろまで「明けの明星」として日の出前の空で見ることができます。
金星の8年周期
先ほどの金星の動き、実は2000年から2001年の冬に見られたものとほとんど同じであることをご存じですか? 地球から見た金星の動きは、ほぼ8年周期で同じパターンを描くことが知られています。この現象は、「ステラナビゲータ 8 公式ガイドブック活用編 金井三男のこだわり天文楽」で紹介されています。同書はプラネタリウム解説員の金井三男さんが過去や未来のあらゆる天文現象を研究した成果をまとめた書籍で、このほかにも「金星の日面通過」「惑星集合」などあわせて52項目が紹介されており、ステラナビゲータ Ver.8を使って再現する手順も解説されています。
「ステラナビゲータ Ver.8」をお持ちの方なら、どなたでもコンテンツ・ライブラリ機能を使って再現アニメーションを見ることができるのでお試しください。
望遠鏡で満ち欠けを観察しよう
まばゆく輝く金星はいつまで眺めても飽きないものです。でもそれだけでは金星の面白さを半分も楽しめていません。望遠鏡を向けて倍率を上げれば、金星の形が見えてきます(模様は見えません)。時期をずらして観察すると、金星の大きさや満ち欠けがダイナミックに変化するようすがわかるでしょう。
内合のころと、外合のころでは地球−金星間の距離が大きく違います。そのため金星の見かけの大きさ(視直径)もずいぶんと変化します。内合付近での最大視直径は60秒をこえますが、外合付近での最小視直径は10秒以下ですから、実に視直径で6倍、面積では36倍も違うことになります。
さて、惑星は月と同じように、太陽光を反射して輝いていますので、月のように満ち欠けを見ることができるはずです。ただ、火星や木星のように地球よりも外側を回っている惑星は、太陽光が当たる面と地球を向いている面がほぼ同じですから、ほとんど丸い形をしています。それに対して、金星は地球よりも内側にあるので大きく変化します。内合時には新月のように、外合時には満月のようになります。ただし、満ち欠けとともに大きさも変わるので、もっとも明るく見えるのは内合の前後約36日ころです。
金星の満ち欠け。中央が内合のころ、左が宵の明星、右が明けの明星。
最大光度前後の金星は、双眼鏡でも形がわかるほどです。そうでなくても、満ち欠けを観察するのに使う望遠鏡は口径8センチメートル程度の入門機でじゅうぶんですが、倍率は高めにするとよいでしょう。ただし、金星は空の低いところにあるので、大気の影響を受けて像がゆらぐことは念頭に置いてください。
アストロアーツオンラインショップでは望遠鏡や双眼鏡をはじめとしたさまざまな天文グッズをそろえています。初めて買う一機こそ、安心できる性能の望遠鏡を選びたいものです。機材選びガイドの決定版ムック「星ナビ別冊 望遠鏡カタログ2008-2009」も参考にしてください。
ランデブーに注目!
時期 | 接近する天体 |
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12月1日 | 月(月齢3.7)、木星 |
1月22日 | 天王星(要双眼鏡) |
1月30日 | 月(月齢4.0) |
2月28日 | 月(月齢3.3) |
単独でも美しい金星ですが、ほかの天体がそばに存在すれば一層すばらしい光景となります。
その筆頭は、なんと言っても月との接近です。宵なら三日月、明け方なら二十七日月ほどの細い月が金星がと並ぶようすはまさに息を飲むほどの美しさです。
ほかの惑星や1等星との競演もよく見られ、双眼鏡の視野に2つ(ときには3つ以上)の天体が収まることも珍しくありません。12月1日には金星、木星、月が集合するので必見です。
星雲・星団などに金星が大きく近づくと、肉眼では見えなくても、双眼鏡で暗い天体を探すときに金星がよい目印となってくれる上に、珍しい光景を楽しむことができるでしょう。1月22日の天王星との接近もその1つです。また、明けの明星となる2009年夏以降は、かに星雲やプレセペ星団などの有名な天体と大接近します。