C/2001 A2 リニア彗星特集 肉眼彗星接近中!

 

 今年の1月15日にアメリカのリンカーン研究所チームの自動捜索(LINEAR)で発見されて以来、たび重なる核の分裂にともなう増光のおかげで、ひさしぶりの肉眼彗星になると期待が高まったC/2001 A2リニア彗星(以下リニア彗星)。6月下旬より日本でも明け方の南東の空にその姿が見られるようになってきました。ここでは増光以後の経過をたどりながら、日本での見え方を推測してゆくことにしましょう。

 

● 最盛期には3.3等まで増光!

 日本からリニア彗星の観測がむずかしくなった5月21日、オーストラリアのゴードン・ギャラッド氏が5月18日に撮影したリニア彗星の写真が発表されました。みごとに伸びたイオンテイル(プラズマの尾)をとらえたその写真は、1996年に現れた百武彗星をほうふつとさせます。

 その後しばらく落ち着きを見せていたリニア彗星は、6月8日からまたまた急増光し、6月13日(世界時)の時点で、当初予想の4等級を上回る3.3等に達し、おまけに尾も4度ほど伸びているという報告が寄せられました。

 しかし残念なことに、このとき日本は梅雨の真っ最中。灰色の雲が空を覆っている日が多く、ただやきもきさせるだけでした。

 

オーストラリアのGordon Garradd氏提供の2001年5月17日のC/2001 A2 リニア彗星

● オーストラリアのGordon Garradd氏提供、2001年5月17日撮影のC/2001 A2 リニア彗星

  この画像は、口径45センチメートルF5.4のニュートン式望遠鏡と冷却CCDカメラにより撮影されたもの。各コマ40秒露光の7コマをつなぎ合わせて、コマから1.5度ほどまでのイオンテイルを詳細にとらえることに成功している。画像上が北。なお、10x50双眼鏡による眼視観測では、5度ほどの尾が確認できたという。

 右下は、コマの周辺100秒角四方のクローズアップ。2つに分かれた核がはっきりとわかる。左がA核、右がB核。B核は、ヨーロッパ南天天文台 (ESO) の8.2メートルVLT望遠鏡の5月16日の観測により、さらに2つに分裂したことがわかっていたが、まだ離角が小さすぎたため、この画像では分離できていない。

 

C/2001 A2 リニア彗星と見え方がよく似ているとされる C/1996 B2 百武彗星

C/2001 A2 リニア彗星と見え方がよく似ているとされる
C/1996 B2 百武彗星

1996年3月25-26日 露出10分
Pentax LX 300mm F2.8 Fujichrome PROVIA 400
撮影:大熊正美 撮影地:千葉県安房郡白浜町

 

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