C/2001 A2 リニア彗星特集 リニア彗星の明るさは?

 

● 減光の兆し?

 リニア彗星が3.3等に達した6月13日以降の観測では、増光の勢いは鈍り、6月16日以降は徐々に減光しているようです。原因は、増光が核の分裂によってフレッシュな彗星表面が現われたためであり、彗星自体はさほど大きなものではないからかもしれません。6月20日以降の写真を見ると、コマ(頭部)は極端に肥大して立派に写ってはいるのですが……。

 以上の状況から、どうやら最盛期の明るさから予想された4等級の明るさよりは暗くなりそうな気配ですが、ひじょうに微妙な状況で予想は困難です。6月24日の時点での状態を保ってくれれば、それなりの明るい彗星として見られるはずですが、最悪の場合、昨年夏に肉眼彗星になると期待されながら露と消えてしまった、C/1994 S4リニア彗星と同じ道をたどる可能性も否定できません。

 

オーストラリアのGordon Garradd氏提供の2001年6月20日のC/2001 A2 リニア彗星

● オーストラリアのGordon Garradd氏提供、2001年6月20日撮影のC/2001 A2 リニア彗星

 彗星の頭部(コマ)が極端に肥大した6月20日のリニア彗星。星の軌跡が赤・青・緑に写っているのは、RGBフィルターを用いた3色分解撮影を行なったため。

 左下の写真は、コマの100秒角以内を拡大したもの。コマが大きく肥大していることがわかる。上の写真と同じく、口径45センチメートルF5.4のニュートン式望遠鏡と冷却CCDカメラにより撮影。

 

核が崩壊した1999 S4 リニア彗星

核が崩壊しつつあるC/1999 S4 リニア彗星
近日点を通過するときに、バラバラになって消滅してしまった

2000年7月30日 20時15分(I-Band 30秒露光4枚)疑似カラー
撮影者/門田健一 撮影地/埼玉県上尾
撮影機材/18cmF5.5反射望遠鏡 + 冷却CCDカメラ(MUTOH CV-16II)

 

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