オースチン彗星(1990年) C/1989 X1
ニュージーランドのオースチンさんが1989年12月6日に発見した彗星で、翌年90年の春に明るくなると期待されました。しかし明るさは3等級にとどまり尾も発達せず、光度予報の難しさを教えられました。
- タイトル:
- 「C/1989 X1(オースチン)彗星」
- 撮影者:
- 柏木 周二
- 撮影日時:
- 1990年4月25日 4時17分、露出 8分
- 撮影地:
- パラオ諸島 カープ島
- 撮影機材等:
- ペンタックス SPF、タカハシ ε-200(D=20cm fl=800mm F4)、フジカラー HG400、タカハシ 160Pで自動ガイド
- 撮影者コメント:
1990年春には、20世紀最大級の彗星になりそうだと話題になったこの彗星の写真を撮るため、89年の暮れ、赤道近くの島(パラオ諸島カープ島)にでかけました。日系人が経営するコッテージに宿泊しましたが、北極星が低く桟橋の最先端(海の上)で苦労して望遠鏡を組み立てたことや、すぐ目の前の浜で当時はかけ出しの西田ひかるが食品会社のコマーシャルを撮影していたことが思い出されます(こんなに有名になるとは思わなかった)。
- 撮影者:
- 鈴木 仁
- 撮影日時:
- 1990年4月30日 3時32分、露出 10分
- 撮影地:
- 富士山 水ヶ塚公園
- 撮影機材等:
- オリンパス OM2N、タカハシ FC-100(D=10cm 屈折)、レデューサ使用(合成F5.9)、フジ スーパーHR1600、タカハシ EM-10赤道儀で自動ガイド
- 撮影者コメント:
評判倒れの彗星でしたが、観測を行った水ヶ塚公園には思いのほか人が集まっていたのを記憶しています。多分ハレー彗星フィーバーの余韻だったのでしょうね。
- 撮影者:
- 山口 猛
- 撮影日時:
- 1990年4月30日
- 撮影地:
- 岐阜県 御岳
- 撮影機材等:
- ニコン FG-20、135mm、フジカラー100、タカハシ Space Boy赤道儀にて自動ガイド
- 撮影者コメント:
大彗星になるとのことで1か月前から計画し、会社の同僚を誘って御岳へ撮影に行った。はじめ双眼鏡で探すも容易には見つからず、期待に反した失速ぶりにがっかり。友人は早々と寝てしまった。しかし、プリントしてみると淡いながらも少し右に折れ曲がった長い尾が写り、やや感動。
- 撮影者:
- 大石 勇一
- 撮影日時:
- 1990年5月1日 2時54分、露出 10分
- 撮影地:
- 長野県 佐久高原 内山牧場
- 撮影機材等:
- ペンタックス KM、SMCペンタックスA 135mm F1.8開放、フジカラー SuperHG400、ビクセンスーパーポラリス赤道儀
- 撮影者コメント:
一般マスコミがゴールデンウィークのネタとして大々的に取り上げたため、数少ない天文雑誌は売り切れてしまい、購入できなかった記憶があります。写真は、真冬並みの戻り寒波により、空は夏の銀河、大地は霜柱という不思議な違和感の中で撮影したものです。M31の近くにピンと伸びた尾が印象的でした。
- 撮影者:
- 見藤 正規
- 撮影日時:
- 1990年5月6日
- 撮影地:
- 岡山県瀬戸町
- 撮影機材等:
- キヤノン フレックスRP、フジカラー 1600ネガ、タカハシ FC100で直焦点撮影、タカハシ EM-10にて自動追尾、多重露出
- 撮影者コメント:
オースチン彗星が地球に最接近していた頃、大変早く移動する彗星を撮影したのがこの写真です。多重露出の間にフレームを動かして彗星の移動を表しています。恒星の動きと彗星の動きの違いがとてもよくわかりますね?まあ、写っている彗星自体が既に動いて写っていますが(笑)。眼視でも星の間をグングン動いていくようすが見られて感動したものです。一時はマイナス等級か?という、あまりにも刺激的な予想があったオースチン彗星。この彗星は当時高校生だった私に「人生、期待しすぎるのは良くない」との教訓を叩き込んでくれたのでした。
その後の青春時代をよく動き、よく寝て健康に過ごした青年。彼が再び昼と夜を間違えてしまうようになるのは6年後、百武第2彗星の襲来まで待つこととなります。
- 撮影者:
- 田中 千秋
- 撮影日時:
- 1990年4月30日 22時ころ、露出 15分
- 撮影地:
- 長野県 美ヶ原
- 撮影機材等:
- ペンタックス 100EDUF、フジカラー ネガ400、ミタカ GN170赤道儀にて電動追尾、直焦点撮影
- 撮影者コメント:
友人らと彗星の撮影に美ヶ原まで出かけた。山の上は暗く、双眼鏡で彗星の姿を確認の後、撮影した。眼視で見えなかった長い尾が写ってくれた。
- タイトル:
- 「期待を裏切ったオースチン彗星」
- 撮影者:
- 渡辺 守
- 撮影日時:
- 1990年4月30日
- 撮影地:
- 大分県 久住高原
- 撮影機材等:
- ニコン F2、Ai Nikkor 180mm F2.8→4、フジクローム P1600D
- 撮影者コメント:
前評判では、尾は100度を越える等騒がれていましたので、あわてて広角レンズを購入しました。近日点に接近しても一向に明るくならず、尾もショボイもので、彗星の光度予測ほど当てにならないものは無い、と実感した彗星でした。
しかし、暗い空の下では、双眼鏡を使えばそこそこに尾も見え、「天文マニア」には楽しめた彗星ではあったと思います。この彗星以降、是非長大な尾を見てみたい、と強く思うようになりました。