百武彗星(1996年) C/1996 B2

1996年1月、鹿児島の故百武裕司さんが発見した彗星です。3月には地球に0.1天文単位まで接近したため、尾の長さが100度近くに達する大彗星になりました。

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(加藤惠一氏撮影の百武彗星の写真)

撮影者:
加藤 惠一
撮影日時:
1996年3月24日 0時27分0秒、露出 3分
撮影地:
静岡県西臼塚
撮影機材等:
ペンタックス 6×7、SMCペンタックス 105mm F2.4開放、フジカラー SuperG ACE400(水素増感)、三鷹 GN-170、FC-65でガイド撮影
その他:
天候:曇り後快晴、透明度:4、シーイング:4
撮影者コメント:

午前0時までは完全に曇りで北風が強く寒かったが、これ以降雲が無くなり、風もやみ絶好の撮影状況になった。百武彗星はひじょうに明るくハレー彗星とくらべものにならないくらいである。動きも早くガイド視野中の他恒星との相対位置がぐんぐん変わる様はダイナミックであった。


(丸山敏章氏撮影の百武彗星の写真)

タイトル:
「彗星夢幻」
撮影者:
丸山 敏章
撮影日時:
1996年3月28日 4時15分頃、露出 100秒
撮影地:
静岡県西臼塚
撮影機材等:
ペンタックス 67 90mm F2.8、富士写真フイルム ASA400
撮影者コメント:

1996年春に忽然と地球を訪れた百武彗星。あっという間に肉眼彗星となり、淡く長大な尾は今もなお心に残る。前日の午後8時頃、小6の息子を連れて表富士方面に向かう。日暮れからずっと雲気が多く午後10時半位から彗星を探すが時折、長い尾を引いた大彗星をガスの切れ間から垣間見るのみ…。

すでに午前3時を回る。息子は寝袋の中で熟睡である。富士と百武のツーショットはだめかと、あきらめかけた頃、一瞬、目の前のガスが切れ幸運にも富士の上空に彗星が長い尾を引いて佇んでいた。自分にとって宝物の1ショットである。


(藤井啓彰氏撮影の百武彗星の写真)

撮影者:
藤井 啓彰
撮影日時:
1996年3月26日 20時20分0秒、露出 7時間
撮影地:
栃木県塩原
撮影機材等:
ミノルタ SRT-101、トキナーズーム 24〜40mm F2.8→5.6、フジ V100、固定撮影
DPE店で現像、DPE店(アナログ系)に焼き増し依頼
撮影者コメント:

この写真はデジタル処理でも何でもして、きれいにすればとも思うのですが、フィルムを実家においてきてしまい、取りに行けないので当時のプリントで応募します。

撮影開始から30分くらいはガスが多く、そのせいでイオンテイルが写らなかったのが残念です。ただ、彗星を撮影する時間は充分(6時間程度)あり、この写真以外の写真を撮影する際も今から考えると比較的余裕がありました。高い高度をゆく大彗星をじっくり見ることができたのですから、しあわせでした。

当初、「百武彗星は翌年くるヘール・ボップ彗星の訓練」などという声もありましたが、あとから考えれば全く別もので、「どう見てもあそこからあの辺まである」長い尾は忘れられません。この彗星の後、広角レンズを見直した人も多いのではないでしょうか?

私は広角レンズを充実させよう思い、いくつか購入した結果、ヘール・ボップ彗星やしし座他の流星に活かせたので、そういった面からも貴重な経験となりました。


(百海正明氏撮影の百武彗星の写真)

タイトル:
「百武彗星の複雑な尾」
撮影者:
百海 正明
撮影日時:
1996年3月24日 3時43分、露出 6分
撮影地:
群馬県桐生市梅田町
撮影機材等:
ニコン FE-2、タカハシ ε-160(F3.3)で直焦点撮影、フジカラー スーパーG400、三鷹光器 GN-170にて彗星の核をガイド撮影
現像はDPE店に依頼
photoCDより読み込み、Photoshopにて処理
撮影者コメント:

当時私は小学校6年生の担任。卒業式を間近に控え、その準備と事務処理に追われる毎日でした。3月22日は職場の飲み会のため、自宅で観望。翌23日は深夜まで曇り。しかし26時30分頃から雲に濃淡が出てきたので、晴れることを信じて地元の山奥へ。車から降りたとたん、信じられないくらい長い尾が目に飛び込んできました。その後も睡眠時間を削って撮影に出かけましたが、尾の構造はこの日が一番複雑だったように思いました。


(伴良彦氏撮影の百武彗星の写真)

撮影者:
伴 良彦
撮影日時:
1996年3月27日 2時44分、露出 10分
撮影地:
長野県南安曇郡梓川村丸田
撮影機材等:
ペンタックス MX、シグマ 28mm F1.8→2.8、フジ SG400、タカハシ EM-1赤道儀による自動ガイド
HAC3200(29度、7.5分)
Photoshopによりライン入れ
撮影者コメント:

ウエスト彗星を自分の怠慢で見逃してから、私にとっては、待ちに待った初めての大彗星でした。彗星を眺めながら、そのとんでもなく長い尾に、感動を超えた、宇宙の恐怖すら感じるほどでした。そして、仕事上、4月より遠方への転勤が決まっていて、この夜の撮影を最後に、しばし星から遠ざかしかなく、寂しい思いも合わさって、本当に複雑な心境だったことを思い出します。


(沼尻裕氏撮影の百武彗星の写真)

撮影者:
沼尻 裕
撮影日時:
1996年3月22日 27時14.5分、露出 10分
撮影地:
山梨県鳴沢村
撮影機材等:
Aiニッコール ED180mm F2.8S開放、タカハシ EM-200赤道儀により半自動ガイド(彗星核ガイド)、フジカラー SuperG ACE800
ニコン LS-4000によりスキャン後、Photoshop7.0を使用して画像処理
撮影者コメント:

私が天文に興味を持ったのは、ウェスト彗星が去ってしばらくしてからです。それから20年近く待ち続け、ついに現れた大彗星が、百武彗星でした。ハレー彗星などを見て、彗星とはこの程度の見え方をするものだというイメージができていましたが、百武彗星は、それを見事に打ち砕いてくれました。明るさ、大きさ、尾の長さなど、それまでに見た彗星とは格が違い、衝撃的でした。この写真は、地球最接近より前に撮影したものですが、イオンテイルが複雑な変化を見せています。3月25〜27日頃や4月に入ってからの姿とは一味違い、最も気に入っている写真です。


(井本彰氏撮影の百武彗星の写真)

撮影者:
井本 彰
撮影日時:
1996年3月28日ごろ、露出 30秒
撮影地:
長野県戸隠村
撮影機材等:
ニコン EM、Ai ニッコール 50mm F1.8開放
撮影者コメント:

スキーで疲れ切って眠ってしまった夜、明け方前に誰かに呼ばれたような気がしてふと目を覚ましました。何気なく曇ったガラスを拭いて外を見たら、あまりにも明るい彗星が空にかかっているではありませんか。家族を起こさぬように部屋の窓を開けて、30秒の固定撮影をしました。音もなくみどりに輝いていた第2百武彗星は今でも忘れません!


(山本海行氏撮影の百武彗星の写真)

撮影者:
山本 海行
撮影日時:
1996年3月28日4時17分、露出 40秒
撮影地:
長野県 五竜スキー場
撮影機材等:
ペンタックス LX、35mm F2→1段絞る、フジカラー G800、固定撮影
撮影者コメント:

この日は彼女とスキーに出かけ、夜中に長野県に向けて中央高速を走っていました。途中のサービスエリアでは一晩中見えていた百武彗星を何度も眺めました。薄明の始まるころやっとスキー場に着き、スキー場が開くまでの間一眠りしている彼女を尻目に、北極星の下に回っていた彗星にカメラを向けました。


(鈴木孝征氏撮影の百武彗星の写真)

撮影者:
鈴木 孝征
撮影日時:
1996年4月13日 19時50分0秒、露出 15分
撮影地:
静岡県水窪町 扇平山
撮影機材等:
ε-250c(F3.4)、(フィルム)フジカラー G400、ST-4で彗星核追尾
撮影者コメント:

サラリーマンが自由になれる時間は土日の休日だけでしょう。その日が月が隠れて且つ晴れることは少なくましてや出会う彗星は一期一会、撮影絶好期は限られてしまいます。百武第2彗星では休日と天候に見放されて叶わず地球より0.6AUでやっと捉えることができました。6年後の同、4月13日(土曜日)に奇しくも池谷・張彗星を撮影するとは思いもよりませんでした。


(高田将弘氏撮影の百武彗星の写真)

撮影者:
高田 将弘
撮影日時:
1996年3月27日 2時30分、露出 10分
撮影地:
栃木県 那須塩原
撮影機材等:
ミノルタ SRTスーパー、MDロッコール 16mm F2.8→4、コダック エクタクロームP1600、タカハシ EM-200にて自動追尾
撮影者コメント:

世紀の大彗星でした。仕事を終えてから急いで出発。仲間と栃木到着後、約2時間の撮影と観望。尾の長さ70度以上。35mmレンズでははみだすので魚眼レンズで撮影。そしてとんぼ返りで帰宅。そのまま出社し、徹夜明けで一日中夢見心地。あれは、夢か幻か?いい思い出でした。


(児玉英夫氏撮影の百武彗星の写真)

撮影者:
児玉 英夫
撮影日時:
1996年3月28日 1時58分、露出 5分
撮影地:
広島県神石郡 仙養ヶ原
撮影機材等:
ニコン F301、シグマ 15mm 対角魚眼レンズ、フジ SHG800
撮影者コメント:

おーい誰だい、空に「ほうき」を置き忘れた奴は?家族を連れて観測地に着き、車を降りて空を見上げた時の感想です。魚眼レンズでなければ撮れないような彗星は現れないものかと冗談で言っていたら、ほんとうにそんな彗星が突如出現しました。百武彗星は北極星付近から北斗七星を貫きかみのけ座まで達し、対角魚眼レンズの中に堂々と収まりました。


(田中千秋氏撮影の百武彗星の写真)

撮影者:
田中 千秋
撮影日時:
1996年3月23日
撮影地:
茨城県龍ヶ崎市
撮影機材等:
ニコン ニューFM2、ペンタックス 100SDUF2、フジカラー400、ミタカ GN170にて電動追尾、直焦点撮影
撮影者コメント:

光害のある横浜みなとみらい21地区でも見ることができ、そこでは固定撮影にて写すことができましたが、この写真は光害がややあるものの、機材の持ち出しに便利な自宅そば(茨城県龍ヶ崎市内)で撮影しました。一晩中、あきることなく眺めていられたこの彗星を見つめながら天文をやっていてつくづくしあわせだなと感じました。


(村野慶一氏撮影の百武彗星の写真)

タイトル:
「飛翔北辰(百武)」
撮影者:
村野 慶一
撮影日時:
1996年3月26日 23時30分、露出 90秒
撮影地:
栃木県 日光山輪王寺境内
撮影機材等:
ニコン F4、ニッコール 24mm F2.8、ISO 1600
撮影者コメント:

小学校の授業でハレーの存在を知り、30年後のその時は記録を逸してしまいましたが、さらに10年後の春に「百武」を迎えることになりました。映像は世界遺産の日光山輪王寺三仏堂から北極星を望むアングルを選び百武とおおぐま・こぐま座を構図に入れました。一心不乱?でファインダを覗き込んでいると、真っ暗闇に忍び寄る気配、はたしてそこには警ら中のお巡りさん、お互いびっくり心臓の止まる思いをしたものです。


(赤星正弘氏撮影の百武彗星の写真)

タイトル:
「百武彗星と北斗七星」
撮影者:
赤星 正弘
撮影日時:
1996年3月26日 3時
撮影地:
群馬県 妙義山
撮影機材等:
ニコン FE、Ai Nikkor 35mm F2.8、フジ SuperG400、ケンコー スカイメモNS
撮影者コメント:

まだ子供だった頃にウエスト彗星を見逃してしまって以来の大彗星となりました。何より彗星らしい堂々とした尾を引いている姿を見られた最初の彗星でもあります。

これほどの彗星は写真で見ることはあっても肉眼では初めてでしたので、そのスケールに圧倒されました。北斗七星と比べてもその大きさが際立っています。


(秋葉まさもり氏撮影の百武彗星の写真)

撮影者:
秋葉 まさもり
撮影日時:
1996年3月 21時から22時ごろ、露出 30秒
撮影地:
北海道札幌市清田区(当時の豊平区)
撮影機材等:
キヤノン T90、Tokina AT-X 24-40mm F2.8を24mm 開放で使用、富士写真フイルム G400、三脚固定撮影
撮影者コメント:

生まれて初めて見た彗星で、冬の氷点下の中、空をずうっと眺めていました。とても綺麗で、一生の思い出になると思います。(見かけの)大きな彗星は南の低い位置に出ることが多く感じます。そんな中で北海道の空高くに見えた思い出深い彗星でこの後、じつは彗星を一度も見ていません。そんなわけで、唯一の彗星の思い出です(写真の雪がオレンジ色なのは道路の水銀灯のためです)。


(野島武氏撮影の百武彗星の写真)

撮影者:
野島 武
撮影日時:
1996年3月24日
撮影地:
タイ国 チャチェンサオ県プランヤオ
撮影機材等:
アサヒペンタックス ME、SMCペンタックス 50mm F1.7、フジカラー 400、固定撮影
撮影者コメント:

タイ出張中に新聞で初めて知り慌ててとりました。タイはいろいろ物騒なところもありましたのでおそるおそるホテルの屋上に出て撮影しました。ホテルのライトアップがすごいところで、肉眼では双眼鏡でやっとわかる程度でしたが、現像後結構写っていたのでびっくりしました。


(深見宏氏撮影の百武彗星の写真)

撮影者:
深見 宏
撮影日時:
1996年3月26日 22時30分
撮影地:
長野県天龍村
撮影機材等:
ニコン F2、ニッコール 50mm F2.8、コダカラー400、固定撮影、モータドライブ15分
撮影者コメント:

霧が出てしまいましたが、思い出残る彗星の姿であります。


(渡辺守氏撮影の百武彗星の写真)

タイトル:
「周極星となった百武彗星」
撮影者:
渡辺 守
撮影日時:
1996年3月26〜27日
撮影地:
栃木県日光市 戦場ヶ原
撮影機材等:
ニコン F4S、Ai Nikkor 24mm F2.8→4、フジクローム RDP II
撮影者コメント:

とにかく度肝を抜かれた彗星でした。東京に転勤が決まり、この彗星が明るくなる、との話で、引越しを急かして機材を持ってきて、奥日光に撮影に出かけました。

転勤直後だったため、有給休暇を取得することをためらっていましたが、とにかく見に行かずに後悔しては損だ、と決心し、出かけましたが、大きなコマと90度前後の尾が見えたため、しばし機材の組み立てを忘れ見とれていました。たった1日しか出かけられませんでしたが、天文を続けていて良かったと思った彗星でした。