半影月食を再現しよう
(星ナビ2005年5月号に掲載)
4月24日の宵の東の空に半影月食を見ることができます。とてもわかりにくい現象だからこそ、ステラナビゲータでしっかりシミュレートしてみましょう。
1.観測地を設定しよう
自宅や観測所など、星を見るお気に入りの場所があるならば、場所を設定後にダイアログの『初期値として保存』ボタンを押しておくのがおすすめ。毎回設定しなくてもステラナビゲータの起動時にその場所での空が再現されるので便利である。
4月24日の半影月食は日没直後の東の空で起こるので、場所によって月の高度がずいぶんと変わってきますが、観測地の設定を行えば、日本各地での再現が可能です。設定方法は4月号の「アンタレス食を再現しよう」をご覧ください。
表示形式は「地平座標モード」にしておきましょう。
2.スカイライン機能とは
平野部ならばスカイラインを使うの必要はないだろう。スカイラインを消すには「天体」メニューの「地上風景」ダイアログで表示をオフにする。
今回の半影月食の月の高度はとても低いので、東の空に高い山などがあると見えないかもしれません。そんなとき役に立つのが「スカイライン」機能。1.の「場所ダイアログ」にある『地上風景生成』をクリックすると、新しくダイアログが開くので、計算範囲に「50km」を入力し、『OK』をクリック。すばらくすると地平線に起伏が表示されます。このスカイラインには建物や木などは表示されませんが、観測の際の目安にはなるでしょう。
3.月の出の瞬間
「今日のデータ」では、実際の日付ではなくそのときステラナビゲータ上で再現されている日のデータが表示される。
半影で昇りはじめた月。大気の影響で横につぶれて見えているのがわかる。このままだと本当に半影に入っているのかわかりにくい。
日時を月の出の時刻に設定しましょう。ツールメニューの「今日のデータ」で時刻をチェック。その数値を控えて時刻設定をしてみると……東南東付近の地平線に半分だけ顔を出した月が表示されるはずです。わかりにくいときは(拡大)でズームアップしてみましょう。ちなみに「月の出」というのは、月の中心が地平線上にあるときをさします。
4.ふだんの満月とどう違う?
「月」の『本影・半影の輪郭』をチェックオンにすると、二重の円が表示される。外側の円の中が半影の部分、内側の円の中が本影の部分である。
じつは半影月食は見た目はふだんの満月とほとんど同じに見えます。そこで「天体」メニューの「太陽・月」ダイアログを開いて、月の項目にある「本影・半影の輪郭」にチェックをいれます。これで月の近くに半影と本影が表示されるはずです。昇りはじめの月は、もう80%ほど半影に入っていますね。
外側の円の中が半影、内側の円の中が本影を表わしている。今回の半影月食の食最大時刻は、全国的に18時55分となっている。
本影・半影を表示させたまま時間を進めると、月と本影が一番近づいたとき(=半影月食の最大)に、月の本影に近い部分がほんのりと暗くなっていることがわかるでしょうか。実際の空では、肉眼では変化がわかりづらいですが、写真でははっきりと違いが見えてきます。月は三脚さえあればコンパクトデジカメでも充分に撮影可能なので、ぜひ挑戦してみましょう。