カッコいい流星写真を撮ってみよう
(星ナビ2005年8月号に掲載)
流星は恒星や月と違って、どの位置に現れるかわかりません。けれど、放射点との位置関係から流れる方向や経路をシミュレーションすることで、美しい構図の星景写真をとることができます。望遠鏡も必要ないですし、デジタルカメラならば、フィルムを気にせずにどんどん撮れるので、写る確率も高くなりますね。
1.ペルセウス座流星群の再現
左:流星ダイアログ。メニューバーから「天体」−「流星」とたどってダイアログを開いたら、群流星のリストから「ペルセウス座γ群」を探し、「表示」「放射点」「名称」にチェックを入れる。まずは「出現確率」を「1倍」にしておこう。
右:アニメーションの設定を「設定日時」にすると、設定した時刻から実際の時間の進み具合でシミュレーションが行われる。実際の出現状況を体感するのに役立つ。
まずはペルセウス座流星群を見てみましょう。全天が見渡せるように「表示形式」は「星座早見」に設定します。日付は、今回の極大と予想されている2005年8月13日午前2時。メニューバーから「流星ダイアログ」を開き、設定を行います。次に「アニメバー」の「ステップ/速度」を「設定日時」にして「実行」ボタンをクリック。実際の時間の進み具合に合わせてリアルタイムでアニメーションが始まります。この設定では流星の出現確率がほぼ実際と同じになるので、「星座早見」表示で全天を見ていても、2〜3分に1個見ることができればいいほうです。
2.流星花火をもう一度
アニメーション設定ダイアログ。「光跡を残す」にチェックを入れ、「常時」にマークを入れる。「アニメーション中」だと、アニメバー以外で時間を進めると光跡が残らない。
放射点から近い流星は短く、90度ほど離れたところに流れた流星の経路が一番長いことがわかる。90度以上離れると、観測地点からの実際の流星までの距離まで遠くなるので、(見かけの)経路はどんどん短くなっていく。ペルセウス座流星群では、はくちょう座、みずがめ座あたり流星写真に適した領域になる。
シミュレーションですから、流星の出現確率も変更できます。「流星」ダイアログで「出現確率」を「100」倍に設定して、もう一度アニメーションを実行すると……ほとんど1秒ごとに流星が降る、2001年のしし座流星群のような「流星花火」が出現します。注意深く観察していると、放射点の位置が勇者ペルセウスの左腕あたりなのが見てとれます。
流星群は、放射点からの距離に応じて、流星の経路が長かったり短かったりするのを知っていますか? 確かめるために、「アニメーション設定」ダイアログで「光跡を残す」に設定します。再度アニメーションを開始すると、流星の経路が残るので、経路の長短がはっきりわかるでしょう。これを見ると、どうやら放射点から90度ほど離れたところに流れる流星の経路が一番長くなっているようです。
流星の経路が比較的長い領域にあり、なおかつ見栄えのする星座は、はくちょう座やみずがめ座などで、流星写真に適した被写体であることがわかります。
3.流星写真の構図を決める その1 追尾(ガイド)撮影
視野円・写野角ダイアログ。使用するカメラを選択するか、自分で写野角のサイズを入力する。「OK」ボタンをクリックすれば、画面上に四角い写野角が表示される
写野角中心にある×をドラッグすれば、写野角を任意の場所に移動可能だ。デフォルトでは天の北極が写野の上になるように設定されているが、周囲の□をドラッグして、写野角を回転させいろいろな構図に挑戦しよう。
それでは、撮影の構図を決めるために、カメラの写野角を表示してみましょう。「光跡を残す」を解除してから、「天体」メニューの「視野円・写野角」ダイアログを表示します。ここでカメラの種類とレンズの焦点距離が指定できます。「OK」ボタンで、画面上に表示された写野角は、中央の×印をドラッグすることで移動、周囲の□をドラッグすることで回転させることができます。あれこれと動かしてみて、好きな構図を探ってみましょう。
構図の見当をつけたら、試しにアニメーションで時間を進めてみましょう。果たして、写野に流星は飛び込むでしょうか。
4.流星写真の構図を決める その2 固定撮影
地平座標ではくちょう座に写野角を表示させたところ。アニメの設定を変更してすばやく時間を進めれば、恒星が線となって写る「固定撮影」のシミュレーションもばっちりだ。
星座早見モードでは、空全体は見えるのですが細かい構図を決めるにはあまり適していません。写野付近をもう少し拡大してみましょう。「光跡を残す」を解除してから「表示形式」を「心射図法」にします。微光星も表示され、より構図を決めやすくなります。表示範囲を調整して、写野角を移動するなど、あれこれ試してください。
写野角は、恒星の動きにあわせてカメラを回転させる恒星時追尾は行わないため、再度「光跡を残す」に設定しアニメーションで時間を進めることで、星が線となり「固定撮影」のシミュレーションもできるのです。恒星の軌跡と流星の軌跡がきれいに交差する構図も探してみましょう。
5.あとは運を天にまかせるのみ!
ステラナビゲータで再現した、みずがめ座を横切るペルセウス座流星群。こんなふうに撮れるかは、運次第!?
流星は、もちろんステラナビゲータのシミュレーションどおりに流れるわけではありません。思ったようにいかないのが、流星写真の難しいところであり、またおもしろいところでもあります。特集「2005年夏の星空三昧」の「星座・流星を撮影する」なども参考にして、はかない流星の一瞬の輝きを写しとってみましょう。
ステラナビゲータ Ver.7・7.0dアップデータを公開中