嫦娥6号、月の裏側に着陸成功

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6月2日、中国の月探査計画「嫦娥6号」の着陸機が、月の裏側の「エイトケン盆地」内に着陸した。今後は人類初となる月の裏側のサンプルの採取、およびサンプルの地球帰還を目指す。

【2024年6月3日 中国国家航天局

中国の月探査機「嫦娥6号」は5月3日に打ち上げられ、8日に月周回軌道へ投入された。その後、順調に飛行を続け、6月2日に月面着陸に向けた運用に入った。

2日の7時9分、嫦娥6号の着陸機は月面に向かって降下を開始し、姿勢を調整しながら徐々に月面に接近していった。自律障害物回避システムで障害物を検知したり、カメラで安全な着陸地点を選んだりして月面の約100m上空まで降下した後、ホバリングしながらレーザー3Dスキャンによって障害物を検出するための画像を取得し、その結果から最終的な着陸地点を選択した。

その後、着陸機は低速で垂直降下し、7時23分に月の裏側の南極エイトケン盆地(SPA; South Pole-Aitken basin、直径約2000km)にあるアポロ・クレーター(直径約524km)の南部に着陸した。過去に月の裏側への着陸に成功していたのは中国の「嫦娥4号」のみで、今回はそれに続く2度目の成功となる。

着陸機が撮影した月面
着陸機が撮影した月面(動画の一部)(提供:中国国家航天局

嫦娥6号の着陸エリア
嫦娥6号の着陸エリア(撮影:嫦娥2号)。着陸機は十字で示された地点(南緯42±1°、西経154±4°)付近に着陸した(提供:CAS/NAOXC/GRAS, X/@SergerYU, CNSA Watcher

嫦娥6号は人類初となる、月の裏側のサンプルを採取して地球に持ち帰るミッションで、すでに採取の準備が始まっている。サンプルは、ドリルやロボットアームなどを使って表層と約2mの深さから2日かけて採取される予定だ。

また、着陸機には小型探査車も搭載されている。計画通りに月面に降り立ち稼働すれば、以前に中国が月に送った「嫦娥3号」の探査車「玉兎(ぎょくと)号」、「嫦娥4号」の探査車「玉兎2号」に続く、3台目の中国月面探査車となる。小型探査車は着陸地点の調査や周囲の土壌分析などを支援するとみられている。ヨーロッパから提供されたマイナスイオン検出器やラドン検出器などの観測機器もまもなく稼働予定だ。

嫦娥6号の想像図
月の裏側に着陸した嫦娥6号の想像図。(囲み内の矢印)月面を走行する小型探査車の4つの車輪が見えている(提供:CCTV、CNSA Watcher

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