ビクセンのフラッグシップ天体望遠鏡の性能を凝縮した「VSD70SS鏡筒」

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天体写真撮影家を主要ターゲットとしつつ、眼視観測派も満足できる性能を兼備した天体望遠鏡「VSD70SS」がビクセンから新発売。

【2024年10月21日 星ナビ編集部

ビクセンは、昨年発売した同社のフラッグシップ天体望遠鏡「VSD90SS」の性能そのままにコンパクトなボディに凝縮した「VSD70SS」を新発売。

VSD70SSは、SDレンズ2枚とEDレンズ1枚を含む、5群5枚の贅沢な光学設計によって、無収差に近い光学系を実現。写野中心から35mm判フルサイズはもちろんラージフォーマット44✕33mmの最周辺に至るまでシャープで美しく均一な星像を得られる。さらに、広い視野での星空観察から高倍率での惑星観察まで、眼視観望でも高い性能を発揮するフォトビジュアル鏡筒だ。

VSD70SS
VSD70SS(提供:株式会社ビクセン、以下同)

■ 発売概要
  • ブランド名:ビクセン
  • 商品名:VSD70SS
  • 価格:555,500円(税込)

■ 製品特徴

ラージフォーマット全面に鋭く美しく均一な星像!
  • 凸レンズにSDレンズ2枚、高屈折率EDレンズ1枚(5群5枚構成)を使用し、前側の凹レンズに新開発の高性能ランタン系ガラスの採用により、軸上色収差と非点収差を極限まで抑えている。35mm判フルサイズはもちろんラージフォーマット44✕33mm(※)の最周辺に至るまでシャープで美しく均一な星像が得られる(※レデューサー併用時はフルサイズ36✕24mmまで)。

断面図

作例「馬頭星雲とオリオン座大星雲」
作例「馬頭星雲(IC434)とオリオン座大星雲(M42 )」機材等:VSD70SS 385mm F5.5、PENTAX 645Z(ラージフォーマット)、総露出時間60分

スポットダイアグラム図
スポットダイアグラム図(画像クリックで拡大表示)

美しい星像が安定して得られる設計
  • ユーザーのスキルに関わらず、満足できる撮影結果が安定して得られるよう、VSD70SSは設定精度に対する「ピークのなだらかさ」にこだわっている。エアリーディスクに収まるピント範囲が広い設計を採用し、温度変化などでピント位置が少しずれたり、スケアリングのズレが多少残っていても写野周辺における星像の色味変化や崩れが起こりにくい。これにより、写野全面にわたり安定してシャープで美しく均一な星像が得られ、撮影後の画像処理も含めて高画質な天体写真を得ることができる。

スケアリング
(画像クリックで拡大表示)

周辺減光のない豊かな光量
  • 天体望遠鏡を使った天体写真では口径食による周辺減光が発生することが多く、撮影後は周辺減光補正などの画像処理が必要となることも珍しくない。そこでVSD70SSでは大口径レンズを光学系の後群に配し、イメージサークル(φ55mm)最周辺の光量を中心の90%以上を確保。写野全面で光量が均一なため、画像処理による周辺減光補正が不要または加工が容易となる。

周辺光量

豊かな階調、写野全面の美しい星像
  • 口径食が少ないことで周辺光量が豊富に保たれるとともに、光の回折により生じる輝星の非軸対称フレア(通称:星割れ)を排除、写野周辺での星像崩れを防いでいる。また豊富な周辺光量により得られる豊かな階調と併せて、美しい撮影結果が期待できる(※撮影システムによっては、カメラボディやカメラマウント等によるケラレが発生する場合がある)。

作例「かもめ星雲」
作例「かもめ星雲(IC2177)」機材等:VSD70SS 385mm F5.5、PENTAX 645Z(ラージフォーマット)、総露出時間60分

高解像、高コントラストを示すMTF特性図
  • MTF(Modulation Transfer Function)は、レンズ性能の評価指標を空間周波数特性で表したもので、レンズの解像力や撮影対象の持つコントラストを像面でどれだけ再現できるかを表す。下図は、水平軸が画像中央からの距離、垂直軸がコントラスト値(最大1)。10本/mmの曲線(赤)も、30本/mmの曲線(青)も1に近く、極めて解像度が高いことがわかる。

MTF VSD70SS
(画像クリックで拡大表示)

MTF VSD70SS+レデューサーV0.71×
(画像クリックで拡大表示)

フラットな像面!ストレール強度96.7%!眼視観測でも威力を発揮!
  • VSD70SSでは非常にフラットな像面が得られるため、良質な接眼レンズとの組み合わせにより、低倍率かつ広視野での眼視観測において、シャープな像が視野全体に広がる。さらに視野中心は、多波長ストレール強度96.7%を誇る。高性能アポクロマートとして定評のあるD81SIIの95.7%を上回る結像性能を持ち、惑星などの高倍率観測にも適している。
汎用性の高い大型接眼部
  • φ55mmの広いイメージサークルと豊富な周辺光量を最大限に活かすため、VSD70SSではφ87.5mmという大型接眼部を採用。豊富なアクセサリーに対応し、ラージフォーマット・フルサイズフォーマットによる撮影や眼視観測など様々な観測シーンに対応できる。
高精度ドローチューブクランプ
  • ラージフォーマットのカメラボディや大型の冷却CCDカメラなど重量のある機材を取付けた際にドローチューブを確実に固定するクランプを搭載。構図やピントを合わせた後でクランプを締めても画角が移動しにくいよう、ラックギアを横から挟んで固定する方式を採用。
フォーカサーに対応
  • 精密なピント合わせに対応するデュアルスピードフォーカサー(別売)、またはZWO社製EAF(電動フォーカサー)等を取付けることができる。
コンパクト収納
  • VSD70SS使用時の全長は約444mmだが、スライド式の対物フードを収納することで、368mm(接眼アダプター等の部品を取外すことで最小約299mm)まで短縮できる。コンパクト収納により手軽に運搬できる。
■ 基本仕様
  • 対物レンズ(主鏡)/有効口径:70mm/5群5枚 SDアポクロマート、ASコーティング
  • 焦点距離(口径比F):385mm(F5.5)
  • 分解能・極限等級:1.66秒 ・ 11.0等
  • 集光力:肉眼の100倍
  • イメージサークル:φ55mm(最周辺光量約90%以上・ラージフォーマット44×33mmカバー)
  • サイズ・重さ:長さ368⇔444mm(最短299mm)・外径90mm 3.5kg
  • ファインダー:(別売)暗視野ファインダーII7倍50mm、50mm用XYファインダー脚II
  • 焦点調節方式:ラックアンドピニオン
  • パーツ取付サイズ:ネジ込み/84mm(P=1mm)、60mm(P=0.75mm)、42mmTリング用ネジ差し込み/60.2mm、50.8mm、31.7mm
  • 接眼レンズ:(別売)31.7mm径接眼レンズ使用可
  • プレート、バンド等:デュアルスライドバー
  • 主要付属品:VSD60.2-50.8アダプター、1/4インチネジ(長さ9mm)×2、六角レンチ(3mm・2mm・1.5mm・3/16インチ)
  • 写真撮影:直焦点撮影、拡大撮影、スマートフォン(コリメート)撮影可(※別途カメラアダプター(別売)、接眼レンズ(別売)等が必要)
  • 太陽観察:別途 太陽投影板Bセット(別売)、接眼レンズ(別売)併用にて可(短時間観測推奨)

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