大西さんが日本人3人目のISS船長に就任

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19日に国際宇宙ステーションで船長の交代セレモニーが行われ、大西卓哉さんが日本人宇宙飛行士として3人目となる船長に就任した。

【2025年4月21日 NASAJAXA

4月19日午前3時40分(日本時間)、国際宇宙ステーション(ISS)で船長交代セレモニーが行われ、大西卓哉さんがISS船長(ISSコマンダー)に就任した。日本人宇宙飛行士が船長を務めるのは、2014年の若田光一さん、2021年の星出彰彦さんに続く3人目となる。

NASAの中継では、まず第72次長期滞在クルーの船長を務めた露・ロスコスモスのAlexey Ovchininさんが、ISS滞在中に得られた多くの地上からの支援や家族に感謝する言葉を述べた。続いて「これがISSの鍵です。今からこれはあなたの鍵です。わたしたちの全てともいえる、このステーションを頼みます」("This is a key from ISS, now it is your key. Take care of our station, it is our everything".)との言葉とともに大西さんに鍵のオブジェを渡し、鐘を鳴らして指揮権交代を完了した。

船長交代セレモニー
セレモニーで前任のOvchininさんから、船長就任の証として引き継がれているISSの「鍵」を受け取る大西さん。赤いポロシャツを着用しているのがOvchininさんたち第72次長期滞在クルー、白いポロシャツを着用しているのが大西さんたち第73次長期滞在クルー(提供:NASA、以下同)

大西さんはOvchininさんにロシア語と英語で、ISSの指揮を引き継ぐことを光栄に思っていること、その指揮を2006年に互いにルーキーとしてISSで出会ったアレクセイさんから受け継ぐことに特別なものを感じていると話した。さらに日本語で次のように船長としての意気込みを語った。

「日本の皆さん、応援ほんとうにありがとうございます。本日2025年4月18日に国際宇宙ステーションの指揮権を継承してコマンダーに就任しました。今回このような大役をいただけたのも、ひとえに私の努力によるものではなく、これまで『きぼう』の運用や『こうとのとり』による物資の補給といった日本の有人宇宙開発に対する貢献が国際社会の中で認められ、そして、また未来に対して期待されている証だと思っています。その期待に応えられるように全力で頑張っていきたいと思います」

このあと大西さんはISSを離れるまでの5か月間、第73次長期滞在クルーの船長として搭乗員を統括し指揮を執りながら、NASAの宇宙飛行士Anne McClainさん、Nichole Ayersさん、Jonny Kimさんとロスコスモスの宇宙飛行士Sergey Ryzhikovさん、Alexey Zubritskyさん、Kirill PskovさんとISSに滞在する。

《宇宙航空研究開発機構 山川宏理事長談話(抜粋、要約)》

2025年4月19日(日本時間)、国際宇宙ステーションに長期滞在中の大西宇宙飛行士が、ロスコスモスのアレクセイ・オブチニン船長から引き継ぎ、ISS船長に就任したことを非常に喜ばしく思います。

大西宇宙飛行士は、日本人3人目のISS船長として、搭乗員の安全を確保し、ミッション全体の成功に向けて、ISS搭乗員を統括し、指揮を執るという重要な役割を担うことになります。

今回の任命は、大西宇宙飛行士のこれまでの宇宙活動実績に加えて、地上でのフライトディレクタとしての経験や訓練において発揮される、卓越したリーダーシップが高く評価されたものと思います。

大西宇宙飛行士は、現役の宇宙飛行士とフライトディレクタという前例のない“二刀流”の挑戦を続ける中で、地上と宇宙をつなぐ架け橋となることを期待しています。そして、ISS船長として米国、ロシアの宇宙飛行士のチームをまとめ、地上の管制官やエンジニアなどの多くの専門家と緊密に連携しながら、数々の成果を上げてくれることを信じています。

大西さんたちISS長期滞在クルー
船長交代セレモニーを終えて笑顔で手を振る大西さんたちISS長期滞在クルー