日本国内では初、北海道で夜光雲を検出・同定

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6月21日未明、北海道内の複数の施設や天文台で夜光雲が観測された。複数のカメラ画像データを使用し夜光雲を検出・同定したのは日本国内では初のことだ。

【2015年7月3日 名古屋大学 太陽地球環境研究所

6月21日朝2時から3時にかけて、北海道で、夜空に青白く輝く雲が観測された。名古屋大学太陽地球環境研究所陸別観測所短波ドップラーレーダー観測施設(陸別町)、同研究所母子里観測所(幌加内町)、なよろ市立天文台(名寄市)、オホーツクスカイタワー(紋別市)で撮影された画像をもとに、北海道大学低温科学研究所、名古屋大学太陽地球環境研究所、駒澤大学、明治大学、国立極地研究所、情報通信研究機構の研究グループが解析を行い、この雲が夜光雲であると同定された。

北海道陸別町で撮影された夜光雲
陸別観測所短波ドップラーレーダー観測施設で撮影された夜光雲。夜光雲特有の筋状の構造がレーダーのタワーの向こうに写っている(撮影:名古屋大学太陽地球環境研究所 西谷望/6月21日2時24分54秒撮影、露出25秒)

北海道紋別市で撮影された夜光雲
オホーツクスカイタワーで撮影された夜光雲。クリックで拡大(撮影:北海道大学 藤吉康志/6月21日2時15分撮影)

夜光雲は高度80~90kmの中間圏界面と呼ばれる領域で、氷の結晶が太陽光を散乱して光るものだ。通常は極域(緯度60度以上)の夏期に見られるが、温室効果気体である二酸化炭素とメタンの増加によって出現頻度が増加し、出現領域が低緯度に広がると考えられており、地球温暖化の進行度合いを示す可能性がある現象として注目されている。

近年フランスやアメリカの中緯度地域では年に数回観測されていたが、日本で夜光雲と確証された例は今回が初観測だ。複数のカメラ画像データから、夜光雲の出現場所・高度が同定されている。今後、科学的な研究を進めることで、地球温暖化との関連も解明されていくと期待される。

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