【1998年11月5日 国立天文台・天文ニュース(218)】
「しし座流星群」の流星が11月18日の夜明け前に大出現すると、新聞、テレビなどで報道されるようになりました。 すでに天文ニュース(197)で一応のご案内をいたしましたが、期日が迫りましたので、もう一度情報を整理してお伝えします。
「しし座流星群」は約33年を周期として出現数が増減する流星群で、1799年、1833年には全天を埋め尽くすほどの流星が見られ、非常に有名になりました。 1866年にもかなりの流星が出ましたが、1899年、1932年には期待したほどの出現がなく、「流星群は衰えてしまって、もう大出現はない」といった悲観論が天文界を支配しました。 しかし、1965年には日本で1時間当たり数100個の流星出現が観測され、続く1966年にはアメリカ西部で毎時10万個に達する大出現がありました。 「しし座流星群」は決して衰えたのではなかったのです。
それからまた1周期が巡り、また「しし座流星群」の極大期がきました。 今年は11月18日の夜明け前がそのピークに当たり、空の暗いところで見れば、ピーク時には、多分1時間当たり100個から200個程度の流星が見えるのではないかと予測されています。 ことによると、1000個を越える出現があるかもしれません。 ピーク時には、ほとんどの方が、これまでに見たことのないほどたくさんの流れ星を見ることができるでしょう。 「都会で見ても流れ星は見えるか」とよく聞かれます。 都会の空でも明るい流星は見えますから、まったくダメということはありません。 しかし、見える数は、暗い空の場合の数分の一から一割くらいに減ると思ってください。
注意していただきたいのは、流星群の出現予測は確実なものではないことです。 流星となる微小粒子を太陽系空間であらかじめ観測することはできませんから、いまの出現予測は、母彗星軌道と地球との距離、ここ数年の「しし座流星群」の出現状況等の間接的な情報に基づいて推測しているに過ぎません。 いうなら、状況証拠だけに頼っている状態です。 したがって、場合によっては、あまり流星の出現がなく、ガッカリすることになるかもしれません。
たとえ流星がかなり出るにしても、その時刻も正確にはわかりません。 2時から4時の間などともいわれますが、一般の報道をうのみにしないことです。 過去のさまざまな流星群でも、予測時刻が数時間ずれることはしばしばです。 たくさん見えるといわれる時刻にだけ見ようとすると、ピークを見逃すかもしれません。 ただし、放射点のある「しし座」が地平線下にある時間帯は絶対に「しし座流星群」の流星は出ませんから、「しし座」が東に昇る18日の0時ぐらいまでは空を見る必要はありません。 それまでは寝ていていいのです。 どうしても流星をたくさん見たいのなら、0時から夜明けまで、ずっと見続けることをお勧めします。 晴れると寒いですから、防寒には十分に配慮してください。 最大の問題は天候ですが、これはどうすることもできません。 当日の晴天を祈ることにしましょう。