すばる/XMM-ニュートン・ディープサーベイの画像の公開

【2004年6月1日 国立天文台 アストロ・トピックス(18)

国立天文台および欧州宇宙機関(European Space Agency: ESA)は共同で、日本時間6月1日午後3時に、国立天文台・東京大学・宇宙航空研究開発機構・英国ダーラム大学・英国レスター大学からなる研究チームが2002年8月から2004年1月までに行った、すばる望遠鏡観測所大プロジェクト「すばる/XMM-ニュートン・ディープサーベイ」(SXDS)により取得された深撮像サーベイ画像と検出された天体カタログを、インターネットを通じてウェッブページ上に公開しました。

(すばる/XMM-Newtonデイープフィールドの画像)

すばる/XMM-Newtonデイープフィールド領域の3色合成写真(提供:国立天文台、すばる望遠鏡)

XMM-ニュートン衛星は欧州宇宙機関(ESA)が開発し、1999年12月に打ち上げられたX線観測衛星で、大型で高感度の多層膜望遠鏡を装備し、0.5〜10キロ電子ボルトのエネルギー(波長1万分の1〜500分の1マイクロメートル)のX線に対して、現在、世界でもっとも感度の良い観測が可能です。

一方、SXDSは、日本のすばる望遠鏡チームが主導する国際共同研究として進められている、宇宙初期から現在にいたる銀河形成史を理解するための広視野・深宇宙探査プロジェクトです。国立天文台理論研究部の児玉忠恭(こだまただゆき)上級研究員らの研究論文によると、この観測からすでに、大きな銀河ほど早い時期に活発な星形成が起こって成長することが報告されています。

また、銀河中心に活動的な超巨大ブラックホールを持つ天体は、約数億光年の大規模構造を示すことが分かってきています。

本公開では、研究者向けのデータ公開だけでなく、すばる望遠鏡による撮像画像から作った3色合成画像、X線でのカラー合成画像、電波での画像を、インターネット上のウエッブサーバーを通じて提供します。研究者が現在解析しようとしているすばる望遠鏡などの最先端のデータを、一般の方たちも見ることができ、また教育資料として活用することも可能です。