すばる望遠鏡のHSC開発チーム、文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞
ハイパー・シュプリーム・カム(HSC)は、2012年に搭載されたすばる望遠鏡用デジタルカメラだ。第1レンズの直径は約82cm、レンズ筒の長さは165cm、重さは3tある。画素数は約8億7000万で、超広視野、超高解像度を誇り、満月9個分の広さの視野を一度に撮影できる世界最高の性能を持つ。HSCの開発・搭載によって、すばる望遠鏡の視野は従来の約7倍に広がった。
今回の受賞対象となった業績は「超広視野を実現したHSCの開発」である。表彰式は2015年4月15日に東京都内で行われ、チームリーダーの宮崎聡(みやざきさとし)准教授、小宮山裕(こみやまゆたか)助教、川野元聡(かわのもとさとし)専門研究職員の3名が出席した。
「HSCプロジェクトは、途中いくつもの難題がありましたが、チームワークで乗り切ってきました。今回の表彰は、HSCの構想・開発・製作・試験観測を進めてきた、プロジェクト全員に対するものだと思います」(宮崎さん)
〈参照〉
- 国立天文台 メールニュース: すばる望遠鏡 超広視野主焦点カメラ開発チームが文部科学大臣表彰を受賞 他
- すばる望遠鏡: HSC 開発チームに平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰
〈関連リンク〉
- 文部科学省: 平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について
- 国立天文台: http://www.nao.ac.jp/
- すばる望遠鏡: http://subarutelescope.org/j_index.html
- 星ナビ.com: 2015年1月号 記事「「すばる」が撮ったアンドロメダ銀河を画像処理」
- 星ナビ.com 金井三男のこだわり天文書評:
〈関連ニュース〉
- 2014/12/04 - 星ナビ1月号は「『すばる』のM31」と「アイソン彗星、崩壊から1年」
- 2013/07/31 - すばる望遠鏡、新搭載の広視野カメラHSCがファーストライト
- 2012/09/13 - すばる望遠鏡の新型超広視野カメラHSCが試験観測を開始
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