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M44 プレセペ星団

M44プレセペ星団

 ふたご座のポルックスと、しし座のレグルスのほぼ中間あたりに、ぼんやりと見える光の塊が、かに座の大散開星団M44(プレセペ星団)です。

 紀元前から存在は知られていましたが、1609年にガリレオが自作望遠鏡ではじめて星の集団であることを発見しました。3.3等から14等までの星が200個以上あることが分かっています。

見つけ方
肉眼でもすぐ位置が分かります。かに座の中心、δ星、γ星、η星、θ星の4星で作る四辺形の中に位置していますが、いずれも暗い星なので、プレセペの存在の方が先に分かり、逆にこの4星の位置が分かることも珍しくありません。δ星(3.9等)からは4.7m西、1゜41'北です。ファインダーでもかなりの数の星が見え、美しい姿が分かります。

双眼鏡:7×50の双眼鏡で、ほぼすべての星が見えます。

望遠鏡10cm、20cm:できるだけ低倍率で観察したいところですが、満月の倍を超える広がりを持つ大きな星団なので全体を捕らえるのは難しいでしょう。

M81、M82

M81 M82

 おおぐま座の頭部近くに位置し、赤緯+70゜と天の北極に近いため、ほぼ1年中観察できる明るい銀河です。すぐ近くに不規則銀河M82が寄り添っています。M81はSb型に分類される渦巻銀河で、はじめて回転速度が計測されたことで有名で、秒速300kmとされています。1993年3月28日に中心核から南西5'のところに12等の超新星が発見されて話題になりました。絶対等級は-21.0等で質量は太陽の2,500億倍、実直径は約10万光年です。

 M82は秒速1,000kmに達する速度で星群が星雲の中心から噴出していることが知られていて、星雲の円盤面から約1万光年以上に達する線状の星のつながりが観測されています。この噴出は今から150万年ほど前にはじまったと考えられており、すでに太陽の500万倍の質量がM82から失われたとされています。最近の研究では、M82は爆発ではなくM81との空間作用によって、こうした姿になったと考えられています。

見つけ方
北斗七星のひしゃくを作るおおぐま座α星とγ星を結び、α星のほうに同じ長さだけ延ばしたあたりに位置しています。近くには4等級の24番星があるので、これを目印にすると良いでしょう。α星(1.8等)からは、1h8.9m西、7゜19'北です。明るい銀河なので、ファインダーでも位置が分かります。

双眼鏡:7×50の双眼鏡で、楕円形と細長い小さな光斑がハの字に並んでるようすがはっきりわかります。

望遠鏡10cm:60倍で同一視野にM81とM82を観察でき、その姿の違いを楽しめます。

望遠鏡20cm:100倍に拡大すると視野の中に大きな光斑が浮かび、その中にある微妙な濃淡をM81、M82ともに楽しめます。

M51 子持ち銀河

M51 子持ち銀河

 大小2つの銀河がつながっているため、子持ち銀河という名前がつけられた有名な天体です。写真では、M51の綺麗な渦巻きの1本の腕の先に、NGC5195と名付けられた小型の銀河がぶら下がっている姿が、非常に良く分かりますが、小口径望遠鏡でそこまで見るのは難しいでしょう。

見つけ方
おおぐま座の北斗七星のひしゃくの柄の先端に位置するη星から、りょうけん座α星(コル・カロリ)の方向に3.5゜の位置にあります。おおぐま座η星、りょうけん座24番星、M51が、24番星を頂点とする偏平な二等辺三角形を作ることを目印にすると見つけやすいでしょう。ただ、淡いのでファインダーでは難しいでしょう。おおぐま座η星(1.9等)からは17.6m西、2゜7'南です。

双眼鏡:7×50の双眼鏡では淡いごく小さな円盤状のイメージが観察できます。好条件下でないと、非常に見にくいでしょう。

望遠鏡10cm:60倍程度で、中心が明るいM51の円盤像とNGC5195の光斑が明瞭に分かります。

望遠鏡20cm:100倍くらいで観察するとM51の大きな腕が見え、それがNGC5195につながっていることが分かります。

M104 ソンブレロ星雲

M104 ソンブレロ星雲

 おとめ座とからす座の境界付近にある有名な銀河です。その姿がソンブレロという帽子にそっくりであることから、ソンブレロ銀河の名で親しまれています。渦巻銀河を真横からみた姿で、大きな暗黒星雲が銀河を一直線に横切るようすは非常に美しいものです。絶対等級は-22.1等、質量は太陽の1.3兆倍、実直径は14万光年という巨大な銀河で、メシエが観察したという記録によって、後になってメシエカタログに追加されたものです。

見つけ方
からす座のδ星を中心としてε星を対称に折り返し、そこから少し西より(乙女座α星スピカの反対方向)に位置しています。スピカ(1.0等)とは赤緯が同じなので、赤道儀ではこのほうが探しやすいでしょう。スピカからは45.2m西、27'南です。小さなファインダーでは見えないでしょう。

双眼鏡:7×50の双眼鏡では小さな楕円形の光斑として観察でき、中心部が明るいことがわかります。

望遠鏡10cm:40倍程度の低倍率でも、東西に細長くのびた光斑が認められます。空の条件が良い時に100倍くらいに倍率を上げると、写真で見るソンブレロ星雲を小さく淡くしたようなイメージが見えてきます。

望遠鏡20cm:さらにはっきりと暗黒帯がわかるようになり、細長く伸びた姿が実に美しく、見飽きることがありません。

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 「メシエ天体アルバム」はメシエカタログ(※)の星雲・星団すべてを網羅。視野角7度で統一された写真を掲載し、各天体ごとに特徴など詳しい解説のほか、拡大写真や周辺の星図などもあり星雲・星団探しを強力にサポート!また、オールカラーなので写真集としても楽しめます。

※メシエ(1730-1817) Charles Messier
フランスの天文観測家。1758年に回帰したハレー彗星をフランスではじめて観測して以来、彗星の捜索に没頭し、以後15個の新彗星を発見した。さらに彗星捜索にとって紛らわしい星雲状天体のリストを作成した。これが今日の「メシエカタログ」で、M天体の名まえで親しまれている。

関連リンク

メシエ天体ガイド