あなたも宇宙から星空撮影 人工衛星「EYE」打ち上げレポート
【2023年1月13日 星ナビ編集部】
レポート:北山輝泰
1月3日9時56分(米国東部標準時)、人工衛星「EYE」を載せたスペースX社のファルコン9ロケットが、米・フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられた。EYEはソニーが進める「STAR SPHERE」プロジェクトの人工衛星で、同社製のカメラが搭載されており、宇宙からの写真撮影体験のサービス提供を目的としている。1月13日現在、衛星との通信確立を完了し、システムの正常動作確認中だ。
私は今回、ソニーの撮影クルーとして現地に赴いた。今回の打ち上げは、立入禁止区域エリアの関係で、ロケット射場より大幅に離れた一般の観覧スポット(距離にしておおよそ16km)から撮影するしかない状況であった。しかしロケハンの結果、ヘリによる空撮が可能ということがわかり、急遽立ち入り禁止区域ぎりぎりの上空から撮影を行うことになった。
撮影は激しく揺れるヘリの機体の中から1200mmの超望遠で行う難易度の高いものであったが、打ち上げの瞬間と再利用するロケットの着陸を運良く写真に収めることができた。ファインダー越しに見ていたロケットの姿は小さいながらも勇ましく、今から宇宙への長い航海に出発すると思うととても感慨深い気持ちになり、シャッターを切りながら涙を流してしまった。
ソニースタッフは射場より16kmほど離れた川沿いの観覧スペースより打ち上げを見守った。今回の打ち上げではライブ配信イベントも行われ、フロリダの現地スタッフに加え、プロジェクトのプロデューサーである村木祐介氏と宇宙キャスターの榎本麗美氏が日本のスタジオから参加した。日本は深夜24時(4日0時)前後であったにもかかわらず約1000人が同時視聴しており、今回のプロジェクトに対する関心の高さが伺える。
EYEという名前は、今回のプロジェクトのキーワードである「宇宙視点」というところから付けられたものだ。カメラは多様なアングルで撮影が可能で、地球の大地や海を撮影することはもちろん、地球と星空、あるいは星空だけを撮影するなど、自由度は高い。EYE搭載のカメラはフルサイズで、レンズは28mmから135mmまでの画角をカバーする。
撮影プランは2通り。一つはソニーが選定したガイドが決めたコースに相乗りして撮影するツアー型のプランで、もう一つは10分間人工衛星を貸し切って撮影できるプレミアムなプランだ。詳細は順次公開される予定なので、STAR SPHEREのクルーに登録して続報を待とう。
STAR SPHEREプロジェクトの最新情報は、星ナビ2023年3月号(2月3日発売)で紹介する予定だ。
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