第24回 メガスター現象を世界に伝える(3)
(星ナビ2006年11月号に掲載)
先月まで2回に渡ってIPS(国際プラネタリウム協会)メルボルン大会の様子をリポートしてきました。4年ぶりに参加した今大会で、国外プラネタリウムデジタル化の流れを見せつけられたのです。その中でアナログ光学式の真骨頂といえるメガスターを看板とする僕の発表は、どのようなインパクトを残すことができるのでしょうか。
プラネタリウム暗黒大陸・日本とメガスター
発表会場は、ホテルのやや大きめの宴会場。参加者はおよそ100人くらいだろうか。口頭発表はロンドン以来8年ぶりとなるが、今回は実機のデモは行わず、発表そのものも通訳に代行してもらう形だったため、発表スタイルという点ではロンドンの時に比べると地味だ。
というのも今回の発表の主眼は、メガスターそのものよりも、むしろメガスターを取りまく日本での社会現象なのだ。発表はおよそ15分。まずロンドン大会から今日までのメガスターの変遷、メガスターIIの開発と常設、そして、昨年夏に放映されたテレビドラマ「星に願いを」のショートムービーを流した。このドラマでは、ラストにIPS(作中ではIPC・国際プラネタリウム会議という名称が使われた)での発表の様子が描かれている。実話を元にしても往々にして脚色も入るのがドラマだが、メガスターの世界デビューも、実際は6メートルのエアドームで、せいぜい20人くらいが相手だったのに、ドラマ中では27mドームで300人相手、しかも蝶ネクタイ(ありえません!)姿という演出。現実のIPSの参加者たちが見てどう思うか興味深々だったが、やはりクスクスと笑いが漏れていた。
しかし、次の「ネスカフェ・ゴールドブレンド」のCMを流すとどよめきが広がった。ネスカフェのブランドは世界的にも有名なので、メガスターがネスカフェのCMに起用されているのには驚いたようだ。そして、家庭用星空投影機「ホームスター」や新型プラネタリウムのメガスターゼロの発表まで行って滞りなく終了。
メガスターは世界に受け入れられるか?
肝心の反響だが、発表直後と、その後会場でたくさんの人に質問をぶつけられた。多かったのは、「ドラマはどこで見られるのか?」「英語版はないのか?」「こういう夢のある話を色々な人に見せたい」……など。このあたりは日本人とさほど感覚的に違わないように思えた。
ホームスターに関心を示す人も多く、すでに知っていたり、中には持っている人もいた。海外ではほとんど発売されていないホームスターだが、プラネタリウム業界の専門家たちは、日本で爆発的に売れたホームスターの情報を多少なりとも耳にしており、何らかの方法で入手したようだ。
そんなわけで、「プラネタリウムの暗黒大陸・日本」の情報を、メガスターという切り口で海外の皆さんにお伝えしたわけだが、最後に課題は残る。日本で大きくブレークすることに成功したメガスターは、今度は世界に通用するか? デジタル化の流れの中で、メガスターの存在意義はどこまで広がるのか? 結局はやってみないとわからないというのが結論だが、手応えは感じることができた。そんなIPSメルボルン大会であった。