XMM-Newton による、X 線で見た「ハッブル・ディープ・フィールド」

【2001年11月6日 ESA Feature of the Week(11 月 2 日)】

ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の X 線観測衛星 XMM-Newton 宇宙天文台がハッブル・ディープ・フィールド北天領域として知られている天域を観測、ESA がその写真を公表した。この領域の研究に、新たに XMM-Newton も貢献することになりそうだ。

XMM-Newton 宇宙天文台が撮影したハッブル・ディープ・フィールド北天領域。色はエネルギーに応じてつけられている(写真提供:ESA)

ハッブル・ディープ・フィールド北天領域(以下 HDF)は、1996 年 1 月に HST(ハッブル宇宙望遠鏡)が撮影した北斗七星の近くの一領域である。非常に長い観測時間をかけたこの HDF は、もっとも深い(暗い天体まで写っている)観測の一つであり、多くの研究者によってたくさんの重要な結果が得られてきた。また、地上の大型望遠鏡や NASA の X 線観測衛星チャンドラもこの HDF を観測してきた。

今回の XMM-Newton による観測は今年の 5 月と 6 月に行われ、延べ観測時間は 50 時間に及んだ。EPIC カメラの視野角(写真の大きさ)は満月の半分ほどで、これはチャンドラのものよりも大きく、オリジナルの HDF に比べてかなり大きい。

この写真には 100 億光年ほど離れた天体まで写っている。他にも、AGN(活動銀河核)やQSO(クェーサー)、電波銀河、新しく見つかった銀河群なども写っている。HST による観測をはじめとする他の観測のデータと相互に参照し、さまざまな波長のデータを組み合わせることによって、天体の性質についてより詳しいことがわかるだろう。

この観測のメンバーであり EPIC カメラを担当している David Lumb は「今回の観測でたくさんの新しい情報がわかった。X 線源の中には、宇宙空間で X 線が吸収されてしまうために非常にエネルギーの高い X 線でしか観測できないものが多くあり、そういった天体は XMM-Newton でしか検出できないのだ」と述べている。

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