火星の赤道付近で起こった洪水は1000万年前のものだった
【2002年2月21日 The University Of Arizona News】
NASAの火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーに搭載されたマーズ・オービタル・カメラが撮影した画像を解析したアリゾナ大学の研究者たちが、火星の赤道付近で起こった洪水はおよそ1000万年前に発生したものであると発表した。
アリゾナ大学のDavon Burrらの研究グループは、火星の赤道のすぐ北にあるケルベロス平原に見られる、長さ1000km以上にわたる裂け目を写した画像を解析した。その結果、この裂け目からおよそ1000万年前に大量の水が流れ出したことがわかったのだ。これまでは、20年以上前にバイキング探査機が撮影した画像の解析から、火星で起こった洪水は20億年以上昔のものであると考えられていたが、今回の結果では洪水は(太陽系の歴史から考えると)ごく最近に起こったものであるということになる。
洪水の際に流れた水の多くは、ケルベロス平原を覆っていた溶岩に吸収され、地表近くに地下氷として存在している可能性がある。こうした地下氷の存在と最近の地熱活動の記録から、ケルベロス平原は将来火星の生命を探査する時の重要なターゲットとして注目されそうである。