パイオニア10号から最後の信号が届いた

【2003年2月26日 NASA NEWS

先月22日、NASAの探査機パイオニア10号からの最後の信号が届けられた。今月7日に再度通信を試みたが信号が受信できなかったため、先月の通信が最後という形になったものだ。打ち上げ以来、実に30年以上にわたってデータを送り続けたことになる。

パイオニア10号は1972年3月に打ち上げられた探査機で、同年7月には小惑星帯に到達。翌1973年12月からの木星探査を経てさらに太陽系の旅を続け、1983年には冥王星軌道より遠いところまで到達した。当初は、木星の放射帯や磁場の探査など21か月間の運用を計画していたが、結果的には1997年3月まで25年にわたって科学的な調査を続け、その後はデータ通信の実験に使われていた。最後の信号を送ってきた時には地球から120億km以上も離れたところにあったが、これは信号が届くまでに11時間20分もかかる距離だ。

また、パイオニア10号には太陽系や人の姿を描いた金のプレートが積まれている。このプレートがいつか地球外の知的生命体へのメッセージとして解読される日が来るかもしれない。まさにパイオニア(開拓者)として活躍してきた探査機パイオニア10号は、今後おうし座のアルデバランの方へ向かい、メッセージを届ける使者として宇宙を静かに漂い続けるということだ。