火星の氷河期が終わった?
【2003年12月17日 JPL News Releases】
NASAの火星探査機マーズ・オデッセイが、火星が気候変動期にあると考えられる兆候を見つけた。
探査機マーズ・オデッセイは2002年初めから、地表上や地表浅いところにある物質の分布が1年を通じてがどのように変化しているのかを調べる地図作りを進めてきた。その結果、極にある二酸化炭素の氷(ドライアイス)の前進、後退などの季節変化のほかに、長期間の変化パターンについても興味深いデータが得られたのである。
それは、火星が氷河期を終えるらしい兆候だ。低緯度の暖かい地域の地表浅いところにある氷はすでに大部分が消えてなくなっており、赤道付近では地表から浅い範囲にある全物質の10%程度になっているようだ。他の場所でも、ゆっくりと氷が解けているとみられている。
また、ガンマ線分光器を用いて水素量を測った結果、地表から50センチ程度の深さには氷の状態が異なるいくつかの層があるらしいこともわかった。モデル計算によると、3つの層が存在しているようだ。もっとも多く氷を含む一番深い層は、寒い時期のもので、雪や吹き飛ばされた多少のチリを含んでいるらしい。一方、真ん中の層は、気候の温暖化によってできたものだという。
その他、赤外線によって捉えられた画像からも面白いことがわかった。極冠に見られる暗い部分は氷が溶けた跡の斑模様に見えるが、実はその部分も低温だということだ。これは、地表部分からは氷が消えてしまっているが、地層の中にある氷を赤外線が捉えているものだと考えられている。
今回のデータは、火星の気候変動に関するものだけではない。極の部分に存在するクレーターの正確な数や、それらがどの程度古いものなのかも知ることもできるそうだ。