太陽の「コロナ加熱」の謎を解く
【2004年9月8日 PPARC News】
太陽についての最大の謎が解き明かされようとしている。専門家を長年悩ませ続けてきたその謎とは「コロナ加熱」と呼ばれており、太陽の表面温度は摂氏6000度であるのに対し、コロナは200万度という超高温であるという点に関する謎だ。
謎の解明には、これまでに太陽観測衛星SOHO(Solar and Heliospheric Observatory)とTRACE(Transition Region and Coronal Explorer)によって集められてきたデータが使用されることになっている。コロナ加熱に関する説には主に2つあるが、いずれも太陽磁場がこの独特の現象の要因とされており、これらの説を説明できる証拠が探られることになっている。
コロナ加熱を説明するメカニズムの候補の一つは、「波加熱」 と呼ばれるものである。太陽の強力な磁場が太陽表面からへ上へ向かって波を運び、その波によってコロナにエネルギーが運び込まれるというのだ。コロナ中の波のエネルギーは行き場を求め、電気を帯びたガスを想像を絶する温度にまで加熱するという。
別の説では、太陽磁場のもつループ構造が直接関係していると考えられている。ループ構造については、すでに太陽黒点と太陽フレアに関係していることが知られている。このループがコロナに届き、輪ゴムのように捻じ曲げられ、さらに曲がりが強くなると、結果的にループは折れてしまう。このときにループから放出される爆発的なエネルギーが、コロナを急速に熱するというのだ。
太陽は、われわれに光や熱、エネルギーなど生命になくてはならないものを与えてくれる。その距離も他の天体と比べとても近いのだが、まだまだ謎も多いのだ。