ステファンの五つ子が見せる、銀河による宇宙曲芸

【2004年9月10日 Gemini Press Release

銀河による宇宙曲芸と呼ぶにふさわしい見事なこの画像は、ジェミニ北望遠鏡が捉えたものだ。銀河NGC 7320(画像中上方にある銀河)内にちりばめられたように見られる赤い部分は、活発な星形成領域を表している。

(ステファンの五つ子の画像)

ステファンの五つ子。クリックで拡大(提供:Gemini Observatory Image、謝辞:Travis Rector, University of Alaska Anchorage)

「ステファンの五つ子」の名で知られる銀河群は、われわれから3億光年離れたペガスス座の方向にある。ここでは、数百万年にわたって互いに作用し続けあってきた銀河が歪んだ姿を見せている。形が崩れる一方で、数多く生まれた星形成領域が、花火のようなまぶしい姿を見せている。

NGC 7320と画像中に見られる他の銀河との関係については、専門家の間で論争となっていた。現在では、NGC 7320は銀河群から遠く離れて孤立しており、他の銀河の影響は受けていないと考えられている。これはNGC 7320の分光観測データから明らかにされたことだ。NGC 7320は秒速800kmでわれわれから遠ざかっており、他の銀河は秒速6000kmで遠ざかっている。現在の宇宙膨張モデルに当てはめると、銀河群はNGC 7320よりも8倍も遠い位置にあることになる。

銀河群に属している銀河は、今後数百万年は相互作用を続けていく。最終的には、いくつかの銀河は現在の形を完全に失い、銀河同士が合体していくと考えられている。

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