火星の天気に回復の兆し 探査車も活動増やす
【2007年8月9日 NASA JPL】
ひどい砂嵐によってピンチが続いていたNASAの双子火星探査車に光明が見えてきた。空が晴れはじめて電源供給が大幅に改善されたことから、運用チームは探査活動に割く時間を増やしている。
6月下旬に火星で発生した砂嵐は、やがて全土に広がり、1か月以上にわたって類を見ないほどの悪天候が続いた。これは電源を太陽電池に頼る火星探査車「オポチュニティー」と「スピリット」にとっては大打撃。一時的に地球との交信を絶たなければ電力がもたないほどの状態だった。とりわけ問題視されたのは、電気ヒーターが稼働しなくなり電子機器が冷えてしまうことだった。
幸いなことに、この数日間で事態はよい方向に向かい始めたようだ。わずかながら空が晴れはじめ、太陽電池の出力が改善したのだ。オポチュニティーのバッテリーは完全に充電され、スピリットのバッテリーもほぼ満タンになった。懸念された温度の低下も抑えられている。
計画続行すら危ぶまれた両探査車だが、今では探査活動にエネルギーを割く余裕がある。スピリットはロボットアームを動かして土壌や岩石を撮影し、オポチュニティーは大気を観測しているという。
ただし、砂嵐は全体として収まる傾向にあるが、まだまだ予断を許さない状況だ。しかも嵐が収まると、大気中を舞い上がっていた砂が今度は太陽電池に降り積もり、結局出力を下げることになってしまう。運用チームは、天候をにらみつつ、バッテリーの充電率を優先して交信の制限は続け、空がさらに晴れ上がるのを待ちたいとしている。