地球にごく近い、みなみのかんむり座の星形成領域
【2007年9月25日 Chandra Photo Album / Spitzer Space Telescope】
NASAのX線天文衛星チャンドラと赤外線天文衛星スピッツァーが、みなみのかんむり座にある星形成領域を撮影した。ここは地球から近い割にはあまり目立たない天体だが、さまざまな質量・年齢の恒星が存在するので、赤ちゃん星の発達を研究する上で役に立つ。
2つの天文衛星が撮影したのは、みなみのかんむり座の方向約420光年の距離にある星形成領域。「コロネット」と呼ばれる星団を淡い星雲が取り囲んでいる。オリオン座大星雲(M42)ほど目立たず、有名でもないが、地球からの距離はオリオン座大星雲までの3分の1しかない。活発な星形成領域の中では地球にもっとも近いものの1つだ。
コロネット星団は、数十個の恒星がまばらに集まってできている。それぞれの星は質量が異なり、発達の段階も異なる。恒星として輝き出す直前の原始星や、生まれた直後の赤ちゃん星をさまざまな波長で研究し、星の生涯の最初期を知る上で都合のよい星団だ。
この画像ではチャンドラが撮影したX線画像を紫に、スピッツァーが撮影した赤外線を波長に応じてオレンジ、緑、シアンに着色して重ね合わせている。若い恒星の多くは青く輝いている。これはエネルギーの高いX線を発していることを意味する。恒星の外縁部における磁気活動がX線を生み出しているようだ。