探査機「フェニックス」、いよいよ火星着陸へ
【2008年5月16日 NASA News Release】
2007年8月に打ち上げられたNASAの探査機「フェニックス」が、まもなく火星に着陸する。着陸地点には岩石の数が少ない場所が選ばれているが、探査計画の中でもっとも困難なステップであるだけに、成功を願いたいところだ。
フェニックスは、2007年8月の打ち上げ以来順調に飛行を続けてきた。今月25日には、いよいよ目的地である火星に着陸する。
フェニックスは、まず火星の大気に時速約2万kmで突入するが、その際機体の温度は一気に数千度にまで上昇する。そしてパラシュートを使い7分間で時速約8kmにまで減速しなければならない。
「探査機を無事火星に送り込むのはリスクが大きく、困難が伴います。国際的に見ても、着陸に成功した事例は半分以下です」と語るのは、NASAの科学ミッション局のEd Weiler氏。
フェニックスの着陸でもっとも心配されているのは、大きな石の存在だ。着陸地点に岩石があれば、探査機に電気を供給する太陽電池パネルが開くのを阻んだり、着陸にさえ支障を来たすかもしれないからだ。
危険を最小限に抑えるため、NASAの火星探査機マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)が着陸予定地点をほとんどくまなく撮影した。同探査機のHiRISEカメラは、フェニックス(幅約5.5メートル・長さ約1.5メートル)より小さな岩石でもとらえることができる。
着陸地点作業部会の議長をつとめる米・ワシントン大学のRay Arvidson氏は、「着陸地点は、火星上で岩がもっとも少ない領域の1つですから、岩石が探査機の安全な着陸を妨げることはないと確信しています」と話している。