太陽活動、次のピークは2013年5月?
【2009年6月18日 SCIENCE@NASA】
太陽の活動周期に関する最新の予測が発表された。それによると、現在極小期にある太陽活動は2013年5月に次のピークを迎える。活動の強さの指標となる黒点数は平均以下になりそうだが、地上の電子機器に深刻な影響を与える磁気嵐が発生する可能性もあり、一概に安心はできないようだ。
太陽の活動は11年周期で変動していて、活発であればあるほど黒点の数も多いことが知られている。極小期を迎えていた2007年、専門家たちは次のピークが2011年か2012年かで意見が割れていたが、2008年3月に底を打つ点では一致していた。ところが、太陽の極小期は今も続いている。この間、太陽表面にはほとんど黒点が見られなかった。
記録的な「静けさ」を保った太陽だが、この数か月間で活性化の兆しが見えてきた。小さな黒点や「原始的な」黒点が見え始め、出現頻度も増している。赤道に向かって表面を伝うプラズマの流れが強くなっている。わずかながら、確かに太陽の電波放射が上昇している。
米国海洋大気庁などの専門家による委員会は、2007年の発表を修正する形で次のピークについて「2013年5月」とする見解を発表した。
「予測が正しければ、ピーク時の黒点数は90個で、78個だった1928年以来の少なさです」と、委員長で米国海洋大気庁宇宙天気予報センターのDoug Biesecker氏は話す。過去数回のピークでは黒点数は120〜150個だった。
太陽活動の極大期には、太陽表面で起きる爆発である「フレア」が、地球磁場全体をかき乱す「磁気嵐」を引き起こすことがある。低調と予想される次のピークでも、それは例外ではない。
太陽極大期の1859年に起きた磁気嵐は送電線に電流を流れさせ、電報局では火災が発生し、新聞が読めるほどオーロラが明るくなったと言われる。「当時の極大期は、2013年に来ると予測される極大期と同規模なのです」とBiesecker氏。現代社会のハイテク・インフラを同じような磁気嵐が直撃すれば、損害額は100兆円を超えるという試算すらあるのだ。
もっとも、委員会によれば少なくともあと1年は太陽の静穏な状態が続きそうだ。
例外的に活動極小期が長引いたことで、地球や地球周辺環境に今までにない変化が見られ、多くの研究者の興味をひいている。彼らにとっても、静穏状態の継続は朗報かも知れない。しかし、太陽の方は人間社会に構いなどしない。ある委員は語る。
「カレンダーの2013年5月に印をつけておくならどうぞ。でも、鉛筆を使ってくださいね」