初めて分析された「スーパーアース」の大気
【2010年12月6日 CfA】
巨大地球型惑星「スーパーアース」の大気が初めて分析された。その結果、大気はひじょうに厚く、成分の5分の1ほどが水蒸気である可能性が示された。
系外惑星GJ 1214bは、地球と比べると半径が約2.6倍、質量が約6.5倍あり、系外惑星の中でも巨大地球型惑星「スーパーアース」と呼ばれる種類に属する。中心星までの距離は200万km(地球―太陽間の約70分の1)、公転周期は38時間だ。その中心星GJ 1214は、へびつかい座の方向約40光年の距離にある暗い星で、地球から見てその中心星が太陽の位置にあったとすると、太陽の300分の1の明るさしかない。
米・ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのJacob Bean氏らの研究チームは、地球から見てGJ 1214bが中心星の前を通り過ぎる(トランジットの)際、中心星から届く光を観測した。
トランジットの最中、中心星からの光の一部は惑星の大気の中を通過する。トランジットを観測すると、惑星上の天候や惑星に存在する物質の化学的な組成によって、特定の波長の光が吸収されるのである。研究チームでは、トランジットから得られた観測データから、GJ 1214bの大気に関する可能性を調べた。
可能性は3つ考えられている。1つ目はもっとも興味深く、惑星が水で覆われていて、中心星までの距離が近いために水が水蒸気の形で存在しているというもの。2つ目は岩石質の中心核を持つ小さな海王星のような氷に覆われた惑星が、水素とヘリウムから成る大気に包まれているというもの。3つ目は、巨大な岩石惑星で、最近放出された火山性のガスが存在しているというものだ。
研究チームによる分析の結果は、惑星が高温多湿で、濃い大気が存在する場合のデータと一致した。一方でスペクトルに特徴が見られなかったため、“惑星には雲と、主に水素を成分とする大気が存在する”という可能性が除外された。GJ 1214bの大気中に豊富な水素が含まれていれば、金星に見られるような雲が存在するか、あるいは土星の衛星タイタンのように、厚いもやに覆われているはずだからである。
Bean氏は「大気はひじょうに厚く、成分の5分の1ほどが水蒸気かもしれません。地球の場合は5分の4が窒素、5分の1が酸素で、水蒸気はその中をうっすら漂っています」と述べている。
さらに同氏は今回の研究成果について「スーパーアースの大気が初めて分析されました。巨大地球型惑星という世界を特徴づけるための道へと続く、現実的な道しるべにたどり着いたのです」と話し、さらに今後の見通しについて「現在、世界中の研究者がこの惑星をまるで顕微鏡で観察するかのように詳しく調べています。来年中には、一体どのような大気なのか、はっきりと答えが得られるはずです」と語っている。
ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示
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