探査機メッセンジャー、水星軌道投入後初の画像を撮影

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【2011年3月31日 NASA

NASAは水星探査機メッセンジャーが水星軌道投入後初めて撮影した画像を公開した。


(探査機メッセンジャーが撮影した水星の南極域の画像)

水星の南極域。クリックで拡大(提供:NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington、以下同じ)

(探査機メッセンジャーが広角カメラで撮影したクレーターの画像)

広角カメラで撮影したクレーター。波長が1000nmのものを赤、750nmのものを緑、430nmのものを青として色付けした擬似カラー画像。クリックで拡大

(初めて撮影された水星の北極域の画像)

初めて撮影された水星の北極域。高度450kmのところから広角カメラで撮影したもの。クリックで拡大

水星探査機メッセンジャー(MESSENGER)は3月29日(米東部夏時間)、水星周回軌道に投入後初めて画像を取得し、その画像が公開された。メッセンジャーは2004年8月4日に打ち上げられ、2011年3月18日に水星周回軌道に入った。

今回最初に撮影されたのは、これまで撮影されたことのない領域を含む南極地域の画像だ(画像1枚目)。中央近くに白く写る大きなクレーターはDebussy()と呼ばれる、直径が85kmある大きなものである。

2枚目の画像はメッセンジャーに搭載されている広角カメラ(WAC)でHokusai()クレーター近くを撮影したものだ。広角カメラは可視光線から近赤外線(430nm〜1020nm)の波長域で11個の狭帯域フィルターを使って撮影することができる。この画像は波長が1000nmのものを赤、750nmのものを緑、430nmのものを青として色付けした擬似カラー画像である。異なる波長域の画像を取ることで、その反射率から表面の鉱物組成を探ることができる。

3枚目の画像は今回初めて撮影された水星の北極の画像である。これも広角カメラ(WAC)によって撮影されたもので、高度450kmの地点からとらえられた。画像中に見られるクレーターの一部はこの画像の外にあるクレーターができたときの衝突の噴出物によってできた2次クレーターだと考えられており、とくに鎖状の構造を見ることができる。この他にも6時間で363枚の画像を取得している。

水星は1974年から1975年にかけて接近通過したNASAの「マリナー10号」が表面の45%を撮影し、メッセンジャーも軌道投入するために水星に3回接近した際に水星表面の撮影を行っていた。4月4日まで機器の動作確認などを行った後、最接近時に200km、最も離れるときには15000kmという超楕円軌道で周回しながら、水星の全球マップを始めとした1年におよぶ様々な科学探査を始める予定となっている。


メッセンジャーの位置と航路

天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」では、メッセンジャーや「はやぶさ」など、主な探査機15機の設定日時における位置や航路を表示することができます。

注:水星のクレーター名は音楽家や画家、芸術家などに由来している。Debussy(ドビュッシー)はフランスの音楽家から付けられた名前。Hokusai(北斎)クレーターなど日本人の名前も付けられている。

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