「海王星式」系外惑星の見つけ方

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【2011年9月13日 ハーバード・スミソニアン天体物理センター

NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」が、既知の系外惑星の公転周期が乱れている様子から新しい惑星の存在をつかんだ。海王星発見に類似したこの手法で系外惑星が発見されたのは初めてで、この新惑星はその存在以外まだ何もわかっていない。


系外惑星のイメージ

系外惑星のイメージ(提供:David A. Aguilar (CfA))

これまでに発見された系外惑星の数はいまや600個以上にも及ぶが、NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」が見つけたものの中に、公転周期が微妙にふらつくものが発見された。どうやらこれは別の惑星の存在を示しているらしい。

公転周期に異常が見られた惑星は「ケプラー19b」と呼ばれ、地球からは約650光年かなたの恒星「ケプラー19」から約1,300万km離れた軌道()を9日と7時間かけて公転している。その大きさは地球の2倍ほどで、主星に近いため表面温度は500度近くにもなる。

このケプラー19bは当初、単独の惑星だと思われていたが、その公転周期が5分だけ長くなったり短くなったりすることがわかった。これはケプラー19bのそばに存在するもう1つ別の惑星の重力によるもののようだ。私たちの太陽系の中では、天王星の軌道のずれから海王星の存在が予言されたという例があるが、このような形で新しい系外惑星が「発見」されたのは初めてのことだ。

今のところこの新しい惑星(ケプラー19cと名付けられている)を他の手段で観測する方法はなく、それが存在するということ以外はその素性は一切わかっていない。この星がケプラー19bに及ぼしている影響から考えられる可能性は、公転周期5日の岩石惑星や周期100日のガス惑星など様々だ。

ケプラーは今後もケプラー19bの観測を続け、ケプラー19cの手がかりを探る予定である。また、将来建設される地上望遠鏡によってこのケプラー19cの質量が求められるかもしれない。だがまだしばらくの間は、存在しか知られていない「見えない天体」として研究が続けられることになりそうだ。

注:「惑星の中心星からの距離」 太陽系では、地球〜太陽の平均距離は約1億5000万km、1番内側の水星でも5,800万kmある。


ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示

ステラナビゲータでは、550個を超える「惑星の存在が確認された恒星」を追加天体として「コンテンツ・ライブラリ」で公開しており、ケプラー19(中心星)が存在する方向を星図に表示できます。ステラナビゲータをご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードしてください。

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