7年ぶりの明るい極大を迎えたはくちょう座χ

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【2013年5月7日 高橋進さん】

夜10時すぎに北東の空に現れはじめたはくちょう座。その長く伸びた首の中ほどに位置するミラ型変光星のはくちょう座χが、3等台と7年ぶりの明るい極大をむかえている。いつもと少し違った白鳥の姿を見てみよう。


文:ダイニックアストロパーク天究館 高橋進さん

χ星が明るくなったはくちょう座

χ星が明るくなったはくちょう座。クリックで拡大(撮影:高橋さん。2013年5月4日撮影)

はくちょう座χとη周辺

はくちょう座χとη周辺を拡大。数字は等級(64は6.4等級の意味)(撮影:画像1枚目に同じ)

はくちょう座χの光度曲線

はくちょう座χの光度曲線(提供:高橋さん。VSOLJメーリングリストデータより作成)

はくちょう座χ(カイ)は、およそ400日周期で光度が変化する変光星です。このはくちょう座χが、7年ぶりに3等台の明るい極大を迎えています。

はくちょう座χは赤色巨星が脈動によって明るさを変えるミラ型変光星です。変光星カタログでは周期408日、変光範囲は3.3〜14.2等とされています。ただこの変光範囲はこれまでの観測で得られたもっとも明るい等級ともっとも暗い等級で、通常の極大等級はおよそ4.2〜5.1等くらいです。

昨年11月におよそ13.0等の極小を経たはくちょう座χは、その後ゆっくりと明るさを取り戻していきました。この星は、8等か9等くらいでいったん増光が停滞するという特徴がありますが、今回は今年2月のまだ10等ほどの明るさで停滞期を迎え、光度が横ばいの状態がおよそ1か月間続きました。

3月中ごろから急速に明るさを増し、4月末には4.0等を越えて3等台まで明るくなりました。およそ3.7等になった2006年の極大以来、7年ぶりの明るい極大です。

ふだんは長い首を優美に伸ばした姿のはくちょう座ですが、はくちょう座χが極大の時だけは首をくねらせた姿を見せてくれます。春霞の季節ですが、明るい極大となった今年は、その姿を肉眼で楽しめるチャンスともいえるでしょう。

5月4日の画像に変光星の周囲の比較星等級を記入したものを載せますので、参考にしてぜひ観測してみましょう。観測結果は天文学的にも貴重なデータとなります。観測した日時、等級をぜひ下記までご報告ください。

VSOLJ(日本変光星観測者連盟)観測データ担当 広沢憲治さん (E-mail:NCB00451@nifty.ne.jp


ステラナビゲータではくちょう座χの予測光度を表示

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、星図上で天体をクリックして表示される「天体情報パレット」で、設定日時における変光星の予測光度を見ることができます。また、「天体」メニュー→「恒星」ダイアログで変光星を表示設定すると、変光星の名前と極大・極小時の明るさが星図に表示されます。

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