米政府機関閉鎖、来月打ち上げの火星探査に影響する可能性
【2013年10月2日 Universe Today/Spaceflight Now】
1日から始まった米政府機関一部閉鎖の影響は、NASAの惑星探査計画にも及んでいる。ほとんどの職員が自宅待機となり、11月に予定される火星探査機「メイブン」の打ち上げも延期の危機に瀕している。
10月1日からのアメリカ政府機関の機能停止にともない、NASAのウェブサイトが閲覧できない状態になるなどさまざまな影響が出ている。そんな中とりわけ懸念されるのが、11月18日に予定されている火星探査機「メイブン」打ち上げの大幅延期である。
メイブンは、太古の火星では今より豊富だったとされる大気や水がいつどのように失われたかなどについて調べるプロジェクトだ。主任研究員のBruce Jakoskyさん(コロラド大学ボルダー校教授)によれば、今回の事態によりNASA職員のほとんどが自宅待機となっており、打ち上げに向けたケネディ宇宙センター(フロリダ州)での準備作業も中断されているという。
探査機打ち上げのタイミングは、地球と目標天体の位置関係が大きなポイントとなる。今回の打ち上げウィンドウ(可能な期間)は12月7日までがリミットで、それを逃すと次回は2016年まで待たなければならない。莫大な費用のかかる探査プロジェクトの延期は数億ドル単位での損失をもたらす可能性もあり、ここまですべてが順調に進行していた計画にとって大きな痛手となる。
進行スケジュールには数日の猶予がもうけられているが、打ち上げまで間もない時期で焦りは募る。Jakoskyさんらは「一日でも早く戻り、休日返上で時間外のハードワークとなっても、なんとか今回の打ち上げに間に合わせたい」と願う。
このまま1週間以上閉鎖が続くとしたら、かなり事態は深刻になる。最悪の場合には12月7日より少し後に延ばすことも不可能ではないが、その場合には火星軌道投入に必要な燃料を改めて計算し直す必要が出るという。
NASAの宇宙飛行士2人を含む6人が滞在中の国際宇宙ステーション(ISS)や惑星探査など現在進行中のミッションについては管制運用が続けられている。だが将来に向けた多くの計画がメイブン同様に滞っており、科学・費用両面での損失が懸念される。