アイソン彗星、残骸が観測されるも彗星活動は終了
【2013年12月3日 国立天文台メールニュース No.120/国立天文台】
11月29日の太陽最接近で核が崩壊したアイソン彗星。太陽観測衛星でとらえられた残骸のようすから彗星活動は完全に終了したとみられ、肉眼で見える期待はかなわなそうだ。
国立天文台メールニュース No.120より
アイソン彗星は、11月29日早朝(日本時間、以下同)に太陽にもっとも接近(近日点を通過)しました。その前の11月27日ごろには、太陽に近すぎるため地上からの観測は難しくなりましたが、SOHOなどの太陽観測衛星でその姿がとらえられていました。
近日点に近づくにつれてその光度を増し、一時はマイナス2等級の明るさになっていたアイソン彗星ですが、近日点通過後にはその姿がきわめて淡くなってしまいました。SOHOの画像を見ると、11月28日19時前後からアイソン彗星が遮光板に隠れる直前の11月29日1時ごろまでの間に、彗星の核が暗くなったのがわかります。このことから、このころに核の崩壊が始まって大きめの破片に分裂し、近日点でかなりとけて(昇華して)しまったと考えられます。
近日点通過直後、遮光板から姿を現した彗星の尾の形状はV字型になっていました。このV字型の上縁は彗星の核が崩壊し始めたころに放出された塵(ちり)が並ぶ尾、下縁は彗星の軌道上に残された大きめの塵または崩壊の際の破片群であると説明できます。
その後、V字型の上縁の塵は、しだいに中央の集光部から遠ざかるように拡散し、下縁も淡くなっています。もし彗星核が活動を続けている場合は、近日点通過後に放出された塵の尾がV字の上縁よりもさらに上側に伸びるはずですが、そのような兆候はまったくありませんでした。したがって、近日点通過後は、彗星の核(あるいは破片群)からの新たな塵の供給はないと考えられ、当初予想されていたような長く明るい尾が見られることはないと言えます。
近日点通過後に見えていた尾も、12月5日ごろには約200平方度に拡散してしまうことから、その輝度は天の川のもっとも濃い部分の5分の1以下と見積もられます。これは、天の川がはっきり見える暗い空でもようやく視認できるかどうかの明るさで、日の出前の薄明の空では、地上からも航空機からも肉眼での確認は期待できないと思われます(注)。
注:「12月上旬の観察」 太陽から遠ざかった彗星の残骸を、かなりスキルのあるベテラン観測者が撮影する可能性は皆無ではないという。
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