準惑星ケレスで水蒸気を検出、小惑星帯で初

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【2014年1月23日 ヨーロッパ宇宙機関

小天体がひしめく小惑星帯で最大の天体、準惑星ケレスで水蒸気が検出された。同領域では初めてとなるこの発見は、太陽系の水の歴史を知るうえで重要なものだ。


太陽とケレス

小天体がひしめく小惑星帯。その最大の天体ケレスから、初めて水蒸気が検出された。クリックで拡大(提供:ESA/ATG medialab/Küppers et al.)

準惑星ケレスの位置

準惑星ケレスは7〜8等級の明るさで、小口径の天体望遠鏡でも見ることができる。現在おとめ座にあり、4月20日には衝をむかえる。クリックで拡大(「ステラナビゲータ」でシミュレーション)

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の赤外線天文衛星「ハーシェル」の観測から、準惑星ケレスに水蒸気が検出された。1秒におよそ6kgの水蒸気が、凍った地表の2箇所を中心に放出されており、どうやら黒っぽい部分が太陽であたためられることによって水が揮発しやすくなっているようだ。あるいは、氷が間欠泉のように噴き出している可能性もある。

準惑星ケレスは火星軌道と木星軌道にはさまれた小惑星帯(小惑星が多く集まる領域)にある最大の天体で、直径はおよそ950km。その内部は岩石の中心核と、氷のマントルの外側に分かれているとみられている。

「メインベルト彗星」と呼ばれる一部の天体が、小惑星帯にありながらガスや塵を噴き出す彗星のような活動を見せることから、小惑星帯に水分が存在するとは考えられていた。その水分が水蒸気の形で検出されたのはこれが初めてだ。

小惑星帯天体に水の氷があるかどうかは、太陽系の歴史を理解するうえで重大な関心事だ。46億年前に太陽系が形成されたころ、その内側は温度が高いために水が集まることはなかった。水星や地球、火星など太陽に近い天体に水がもたらされたのは今から39億年前、太陽から遠く離れた外側からやってきた小惑星や彗星が次々と天体に衝突した時なのだ。

「ハーシェルが観測したケレスからの水蒸気放出は、太陽系内での水の分布について新たな情報を与えてくれます。ケレスは小惑星帯全体の質量の5分の1を占めるほどの天体なので、小惑星や彗星などの太陽系小天体だけでなく、地球の水の起源を知るうえでも重要な発見です」(ESAのGöran Pilbrattさん)。

2015年初めごろには早くもこの成果を間近で確かめるチャンスが訪れる。小惑星ベスタの探査を終えて今まさにケレスに向かっているNASAの探査機「ドーン」が、ケレスの上空から地表を観測し、水分の揮発のようすを詳しく伝えてくれるだろう。