生まれたての大質量星の周りに水蒸気のガス円盤
【2014年3月4日 国立天文台】
国立天文台の研究チームが、アルマ望遠鏡とVERA望遠鏡などの観測から、誕生後間もない大質量星の周辺に高温水蒸気ガスの回転円盤を発見した。太陽の8倍以上の大質量星も中小質量星と同様に、回転ガス円盤を通して物質が集まることで誕生することがわかった。
国立天文台の廣田朋也さんらが観測したのは、約1400光年彼方のオリオンKL星雲で生まれたばかりの大質量星の電波源I(アイ)だ。アルマ望遠鏡を用いた観測から、電波源I周辺の3000K(約摂氏2700℃)の高温水蒸気ガスから放射される電波を高解像度で撮像することに成功した。
電波望遠鏡ネットワークVERA(ベラ)などが過去に行ってきた観測と合わせることで、この高温の水蒸気を含むガスが電波源Iを回る回転円盤であると確認された。回転円盤の直径は太陽〜地球の距離の約80倍と見積もられている(参考:太陽〜海王星は約30倍)。
これまで大質量星がどのように誕生するかは論争が続いていたが、今回初めて電波源Iの正体がガス円盤であると判明したことで、太陽の8倍以上の大質量星も中小質量星と同様に回転ガス円盤を通して物質が集まり誕生することがわかった。研究チームは、今後さらに性能が高くなるアルマ望遠鏡での観測を行い、電波源Iのより詳しい性質や進化の謎に迫りたいとしている。