インターネット上で、コロナド社の新型Hα太陽望遠鏡(パーソナル・ソーラー・テレスコープ=P.S.T.)が発売されたというニュースを見て、我が眼を疑いました。口径は40mmと小さめですが、価格は超激安の147,000円(現在79,800円)。なんと従来のHαフィルターよりも安くて、しかも望遠鏡の鏡筒部分やアイピースまでもを含んだ一式の価格です。思わず望遠鏡ショップに予約注文。さっそく入手したので、まずはファーストインプレッションをお伝えしましょう。
躍動感あふれる太陽を気軽に見る
テレビュー・ジャパン扱いで発売となった米コロナド社のパーソナル・ソーラー・テレスコープ(以下PST)は、Hα光で太陽を観察する専用の天体望遠鏡です。Hα光とは、水素ガスの発する輝線スペクトルのことで、このHα光で見る太陽は、白色光で(もちろん投影板やフィルタなどで安全に)見るものとはまったく異なります。白色光では、黒点や白斑など、比較的動きの少ないおだやかな太陽面のようすが観察できますが、Hα光ではプロミネンスやダークフィラメント、スピキュールなど、わずか数分の間にその形を変えることもある現象を観察できるのです。まさに、太陽が激しく活動していることを、目の当たりにすることが可能な望遠鏡というわけです。
こうしたHα光で観察できるPSTは、口径40ミリ、焦点距離400ミリの屈折望遠鏡がベースになっています。対物レンズには特殊なコーティングが施され、鏡筒のもう一端には、天頂プリズムとHα光のみを透過するフィルタを収めた箱状の接眼部が組み付けられています。
使い方は、説明書を熟読するまでもなく簡単です。箱から出して、三脚に取り付け、アイピースを付ければ、準備は完了します。
次に望遠鏡の鏡筒部分の影を見ながら大まかに向きを合わせ、さらに太陽導入ファインダーで太陽を導入します。これは、箱状の接眼部前面にピンホールがあり、そこから入った太陽光が円形のスリガラスに景色を映すというものです。
この状態でアイピースを覗くと、赤い太陽が視野のどこかに見えています。そこで、三脚を微調整して太陽を視野の中央に導入します。さらに、合焦つまみでピントを合わせ、接眼部の鏡筒基部にあるティルトダイヤルを少しずつ回していくと、あるところで急速に太陽面の模様が見えてくるのです。所要時間はわずか1分、ホントに手軽です。しかも、見えている太陽像は本当にリアルで、いつまでも(というか日が沈むまで)飽きることがありません。