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星ナビ機材セレクション
「ケンコー スカイエクスプローラー EQ6PRO 赤道儀」
※注意:「スカイエクスプローラー」シリーズは「NEWスカイエクスプローラー」シリーズに改められ、価格が変更になりました。
星ナビ 2006年11月号
レポート/川村 晶+星ナビ編集部
2007年1月16日
激安ながらも充実装備
EQ6PROは、モータドライブを内蔵した現代的なスタイルのドイツ式赤道儀である。ケンコーの望遠鏡といえば、ライトグリーン系の塗装がメーカーカラーだが、外装のほとんどに白い塗装が施されている。
両軸のウォームホイルやモーターは、もっともコンパクトに組み込みが可能とされる高橋製作所のEM-10/11系やEM-200/400系とほぼ同じレイアウトだ。両軸のモーターが赤緯体に内蔵されているので赤緯体が大きく、また、赤緯軸のウォームホイルが鏡筒側にあるため、極軸中心から鏡筒取り付け部の赤緯軸端までの距離があり、やや首の長い印象だ。
あまり見慣れないスタイルなのが、三脚の脚の取り付け位置である。国産の多くの赤道儀の三脚が、3本の脚のうち一本を赤道儀の真北に出している。これは、もっとも加重のかかる方向が赤道儀の真北側であるからだ。しかし、EQ6PROではデフォルトで3本の脚のうち一本を赤道儀の真南に出している。OEMとして世界中に供給されていることもあるためか、極軸の仰角の低い低緯度の地域でもウェイトと脚との干渉をさけるということだろう。もちろん、日本国内の緯度での実際の使用でも、特にバランスが悪いという感じはなく、実用上は何の問題もない。
モータードライブやハンドコントローラーなどの電気系は、必要と思われる機能はすべて実装されている。外部にパソコンを接続し、星図ソフトや天文シミュレーションソフトなどからコントロールするためのRS-232CポートやSBIG社ST-4互換のオートガイダー用コネクタを標準で装備している。また、ソフトウェア的には、天体自動導入機能はもちろん、ピリオディックモーション補正機能(PEC)も搭載している。
高速駆動は対恒星時800倍という仕様だが、鏡筒なしの状態での実測では約650倍速だった。高速の自動導入のためのモーターは、広い回転数で安定した回転とじゅうぶんなトルクが得やすいDCモーターの採用が多いが、EQ6PROではマイクロステップ駆動という方式のステッピングモーターが採用されている。アライメントなどで天体を視野中央に導入する時など、DCモーターにありがちな反応のタイムラグやオーバーランがなく、キビキビとした動きで赤道儀を操作できるのは気持ちがいい。ちなみに、ハンドコントローラーの手動操作での速度は、キー操作での10段階の切り替えが可能で、きめ細かく簡単に変更できる。

赤緯体西側の面に電源スイッチやハンドコントローラーのコネクタなどを装備したパネルが配置されている。ハンドコントローラーには、赤いバックライトに黒文字で、16文字、2行の液晶ディスプレイを装備する。キーは、テンキーや4つの方向キーのほかに、ESC、SETUP、ENTERの3つのキーが配置されている。キートップは内部から赤く照明されるので、暗闇での視認性は良好だ。残念なのは、表示がすべて英語であること。現在のところ、日本語化の予定はないという。ちなみに、EQ6PROの装備されているハンドコントローラーは、パソコンと接続して、ユーザーによるファームウェアのバージョンアップが可能になっている。パソコンとの接続はRS-232C。プロトコルはNEXSTAR-5i/8iとコンパチブルで、ステラナビゲータ7で動作確認できた。
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赤緯体のパネルをはずすと、内部の電子回路基盤とモーターが見える。ステッピングモーターはDCモーターよりも消費電力が大きくなりがちなので、商用電源が利用できるのなら付属のACアダプターを使用したい。野外での運用には、カーバッテリーなどできるだけ大きな容量のバッテリーを用意した方が安心である。