星ナビ機材セレクション
「セレストロン NexStar6SE」
アストロアーツオンラインショップ特価
148,000円(税込)
※販売を終了しました
星ナビ 2007年3月号
レポート/川村 晶+星ナビ編集部
2007年4月4日
秀逸なアライメント方式を搭載
ネクスターSEシリーズの架台部は、経緯台、赤道儀兼用である。架台を机上に置いての使用も可能だが、伸縮式三脚も標準装備され、ファインダーから天頂プリズム、アイピース1本が付属するので、電源さえ用意すればすぐに使うことができる。今回は口径15cmのシュミカセを搭載したネクスター6SEを経緯台として試用することにした。
従来モデル同様に、片持ちフォークアームの側面にハンドコントローラーを装着できる構造で、デザイン的にもすっきりとしたスタイルである。アームの内側とドライブ上部はプラスチック製だが、その他の外装はアルミダイキャスト製のようで、耐荷重的には問題ない強度を得ている。
見たい天体に望遠鏡を向けるには、ハンドコントローラーで天体を指定するわけだが、現状では自動導入望遠鏡といえども、望遠鏡一式を黙って地面に置いただけで望遠鏡の向きを把握し、高精度な天体導入までを完全に自動で行うことは不可能である。機種によっては、GPSや磁北・傾斜センサーなどを内蔵し、ある程度は望遠鏡の姿勢検出が可能なものもあるが、最終的にはユーザーが基準となる恒星を視野内に導入して、望遠鏡の向きを正しく認識させるアライメント(初期設定)が必要である。アライメントの方式はメーカーごとに特色があり、開発者としてはアイディアの見せどころといえる。
ネクスターSEシリーズでは、一般的なひとつ、もしくはふたつの基準星によるアライメントに加え、スカイアライメントモードと呼ばれる新たなモードが追加されている。
このモードは、コントローラーからの手動操作で任意の明るい(2.5等以上)3つの恒星を順次導入していくことで、アライメントを行うというものだ。コントローラーから基準星を名前で選び、その恒星を導入するのではなく、導入した恒星を基準星とする。コントローラーに内蔵されたコンピュータが導入された3つの恒星を同定して、望遠鏡の姿勢を判断するのである。したがって、星の名前を知らないというビギナーユーザーでもアライメントを簡単に行うことが可能だ。
操作の手順に関しては割愛するが、実際の星空でスカイアライメントモードを使い、まずはリゲル、シリウス、レグルスでアライメントを行ってみた。3つめの恒星を導入すると、天球の座標系と望遠鏡の向きを合わせる計算を行っているためか、しばらくの沈黙の後、コントローラーに「Match Confirmed」と表示されてアライメントが完了した。この時、ENTERキーを押すことで、基準星にした恒星の名前を順に表示することができる。
その後、比較的視直径の大きなメシエ天体を指定して、いくつかを自動導入してみたが、付属のプローセル25mmアイピースで60倍、実視界0.83度の視野内のいずれかに確認することができた。導入精度としては、まずまず及第点といえるだろう。他にも、カペラ、ベテルギウス、スピカなど、複数の1等星の組み合わせでアライメントを行ったが、導入精度はほとんど変わらず、安定した動作を見せた。ちなみに、駆動速度は対恒星時0.5倍から960倍速(秒速4度角)で、最大速駆動時のギア鳴りは比較的大きい印象だ。
他社製の自動導入システムも含め、従来の方法では、コントローラーに表示される候補の中から基準星を選ぶ必要があったり、建物や木立で視界が大きく制限されているような場合、基準星を自動的に選ばれても実際には見えないなど、ユーザーがリカバーしなければならないシーンも少なくなかった。スカイアライメントモードは、そうした煩わしさもなく、何より星の名前が判らなくてもかまわないという点で、もっとも優れたアライメント方式といえるだろう。