Location:

分裂した彗星を見よう!〜73P/シュワスマン・ワハマン

分裂彗星を撮る

構図の検討

ステラナビゲータ「写野角」表示 シュワスマン・ワハマン彗星の何より大きな特徴は、核が分裂したしたことにより、複数の彗星が「編隊を組んでやってくる」ということです。2002年にも、リニア彗星(C/2002 T7)とニート彗星(C/2001 Q4)が同時に見られると騒がれましたが、軌道がまったく異なるために、同一夜に好条件でふたつ並んで見えることはありませんでした。

右図は、キヤノンEOS20D(焦点距離50mm)の「写野角」を表示した画面(クリックで拡大)。ステラナビゲータVer.7の「写野角」表示は、実際に使用するカメラの種類と、レンズの焦点距離を指定することで、構図の検討に役立つだけでなく、逆に撮影対象にあわせてどんな機材を準備すればいいのか、事前に検討することができます。

 しかし、シュワスマン・ワハマン彗星の分裂核は、もともとが同じ彗星なので、軌道はわずかに異なるが、それぞれの核は比較的近い位置関係で、宇宙空間をほぼ同じ方向に動いていいます。したがって、地上からは複数の彗星が並んで夜空を横切っていくというめずらしい光景が見られるはずです。写真に残すのなら、まずはいくつかの彗星(分裂核)を同一写野にとらえたいところです。

星野写真を撮る

GPガイドブック+スカイメモR

 こうした光景の撮影なら、望遠レンズよりも広角レンズで、背景の星座がわかるように構図を検討するとよいでしょう。撮影方法は、星座を撮影する感覚で、赤道儀にカメラを搭載して行う追尾撮影がよいでしょう。標準レンズや広角レンズを使うのであればポータブル赤道儀の追尾精度でもじゅうぶんです。

おすすめは、総重量わずか6Kgという軽さと、付属のキャリングバックに収納できるコンパクトが魅力の「GP2ガイドパック(販売終了)」と、簡単なセッティングですばらしい星野写真が撮れる、持ち運びに便利なポータブル自動追尾赤道儀「スカイメモR(販売終了)」です。

 もちろん、広角レンズでは写野が広いぶん、それぞれの核の彗星像が小さくなり、彗星の詳しい様子はなかなか写らないと予想されるので、望遠レンズ、あるいは望遠鏡の直焦点でも狙ってみたいところです。

 35mm判換算の画角なら、300mm程度の望遠レンズを使うと、B核、G核のふたつの彗星を同一写野に並べて写すことができます。さらに長い焦点距離の望遠レンズや望遠鏡の直焦点なら、個別に撮影してそれぞれの核の様子がどのように異なるのか、比べてみるのもおもしろいでしょう。

 また、最接近の頃は、一晩中見えているので、特定の核を連続して撮影し、時間変化を記録してみるのもよいでしょう。もともと分裂しやすい性質なので、新たな分裂の瞬間を捉えられる可能性もあります。

拡大写真を撮る

メトカーフコンポジットしたシュワスマン・ワハマン彗星(C核)

 アップで撮影する場合にやっかいなのは、地球に最接近する頃には、1日に天球上を6度以上も移動していくことです。恒星に合わせた追尾で数分間の露出をすると、背景の星空に対して彗星が刻々と移動するため、彗星だけがブレたように写ってしまいます。

右図は、ステライメージVer.5の「メトカーフコンポジット」で処理したシュワスマン・ワハマン彗星(C核)。「メトカーフコンポジット」の詳細については、ステラ情報局「彗星をメトカーフコンポジットしてみよう」をご覧下さい。また更に詳細な処理方法は星ナビ6月号をご覧下さい。

 オートガイダーがあれば彗星の中央を追いかけ続けることも不可能ではありませんが、デジタルカメラでは露出時間を切りつめて、彗星の動きに合わせてコンポジットするステライメージVer.5の「メトカーフコンポジット」機能で対応するのがよいでしょう。

天体画像処理にした機能満載!「ステライメージ Ver.5」

ステライメージ Ver.5

天体画像処理ソフトの定番ソフト「ステライメージVer.5」。各メーカーのデジタルカメラRawファイルの読み込みにも対応、冷却CCDカメラだけでなく、デジタル一眼レフカメラでの撮影した天体写真の処理にも最適、もちろん彗星の画像処理にも威力を発揮します。

また、現在購入された方全員にステライメージ Ver.5での 画像処理がよくわかる小冊子をプレゼント中です。

月刊星ナビに掲載された、ダーク・フラット補正、ヒストグラムの読み方、レベル調整、デジタル現像、色彩補正など、画像処理の基本をまとめた役立つ解説書です。