2007年8月28日 皆既月食
月食を撮影しよう
デジカメが大活躍
デジタルカメラはこの数年間で爆発的に普及しました。今回の皆既月食は、全国で見られるものとしてはひさしぶりで、「デジカメ時代」となってからは初めてといえるかもしれません。
月食の撮影といえば、刻一刻と変化していく月の姿を一枚の画像に収めた写真をよく目にします。フィルムでこれを実現するには、失敗の許されない困難な多重露出撮影が必要でした。しかし、デジカメなら複数の画像を合成するという手があります。
さらに、月や空の明るさ、月の動き、地上風景などを考慮して露出(撮影時間やフィルムの感度など)を調整するには、やはりその場で結果を確認できるデジカメが有利です。
誰もが持っているコンパクトデジカメでも、印象的な写真を残すことが可能です。ぜひ挑戦してみてください。
地上風景といっしょに
今回の月食は月が昇ってきた時点から始まっているので、地上の景色といっしょに写すのが狙い目です。カメラを三脚に固定してシャッターを切るだけ、という簡単な方法で撮影できます。
オート露出機能しかないコンパクトデジカメでも、薄明が残っているころならじゅうぶんに写せるはずです。また、ほとんどのデジカメについている「遠景モード」を使えば、オートフォーカスでもピントのあった写真が撮れます。
望遠鏡で拡大撮影
月は大きく見える天体だという印象があるかもしれませんが、夜空に浮かぶ月は、案外小さなもの。月食のようすを残すなら、出来る限りアップで写したいところです。望遠レンズを使うという手もありますが、ここでは望遠鏡と接続する方法をご紹介します。
コンパクトデジカメを望遠鏡と接続する場合は、アイピースをカメラレンズでのぞき込む「コリメート撮影」を行うのがベストです。「デジタルカメラアダプター II」などを使えば、ほとんどの機種が望遠鏡に取りつけられます。
撮影時の鉄則は、ブレを避けること。リモコン式のカメラなら問題ありませんが、そうでなければシャッターを押すことになります。その場合は、市販のケーブルレリーズを使いましょう。「ケーブルレリーズブラケット」を使えば、どんなカメラにもレリーズを取り付けられます。
コリメート撮影をすると、画像の周辺がとぎれてしまうことがあります。カメラのズームは望遠側に設定して、逆に望遠鏡の倍率は低めにしましょう。また、カメラのオートフォーカスは月面が暗くなる皆既中には使いにくいので、遠景モードに設定してカメラのピントを固定した上で、望遠鏡側でピントを合わせるとよいでしょう。試し撮りした画像を液晶モニタで確認しながらピントを調整できるのも、デジカメならではです。
もっと知りたい方のために
8月28日の皆既月食を撮影するために必要なことすべてが、この1冊に書かれています。月刊天文雑誌「星ナビ」2007年9月号は、特集「皆既大作戦」や夏のイベント情報など盛りだくさんの増ページ特大号。