2007年 夏の星空三昧

夏の星座を探そう

天の川と夏の星座

天の川に沿った夏の星座

天の川に沿って分布する夏の星座(ステラナビゲータ Ver.8で作成)

夏の星空の目印は、東の空の明るい3つの星で作る夏の大三角です。まず東の空の高いところで輝く星を見つけます。これはこと座ベガです。ベガから右下に下がったところに、1つの明るい星と、両わきにやや暗い星が並んでいるのが見つかります。明るい星はわし座アルタイルです。

ベガとアルタイルは、七夕(たなばた)伝説の織り姫と彦星です。これら2つの星の間には、伝説と同じように、天の川が流れています。夏の天の川は、ほかの季節よりも明るく、はっきりと見えます。月のない晩の深夜、空気のきれいなところで頭の上を見上げてみてください。眼が夜空の暗さになれるころ、南から北に流れる天の川が見えてきます。

さてベガとアルタイルの左側には、天の川の上を翼で橋渡しするようにはくちょう座があります。シッポの星デネブと、先ほどのベガとアルタイルを結ぶ三角を夏の大三角とよんでいます。

今度は南の空を見てみましょう。南の低いところには、Sの字のカーブを描くように星が並んださそり座が見つかります。目印は赤く光っているサソリの心臓、アンタレスです。さそり座の東側(左)には、いて座が見つかります。目印は小さなスプーンの形に並んだ、南斗六星です。そのまま眼を上の方へ見上げていくと、天頂のあたりにヘルクレス座も見つかります。

星座早見

夏の夜空。中心が頭の真上に相当。クリックで拡大(ステラナビゲータ Ver.8で作成)

これらの星座は「夏の星座」と分類されていますが、どういう基準で、さまざまな星座を季節ごとに分けているのでしょうか。

一般的には、夜の21時ごろ、南と東と北の方角の高いところに見える星座を、各季節の星座とよんでいます。西の空に見える星座は、時間がたつとすぐに沈んでしまうので、季節の星座には数えません。また南の低いところにある星座は、見やすい季節や時刻が限られているので、チャンスを逃さないようにしてください。

夏の大三角

夏の大三角

夏の大三角。クリックで拡大(ムック「星座入門」より)

7月7日の七夕(たなばた)のころなら東の空、8月ならば南の空を見上げると、明るい星が3つ、大きな三角形を描いて輝いています。これが「夏の大三角形」で、こと座のベガ、わし座のアルタイル、そしてはくちょう座のデネブの3つの1等星でできています。

宵のうちなら、ベガがいちばん上に見えているはずです。その右下がアルタイル、左下がデネブです。このうち、もっとも明るいのはこと座のベガです。ベガのわきに、4つの星が平行四辺形のように並んでいて、たて琴の形を作っています。

右下のわし座のアルタイルのそばに3等星の星が並び、そこから両側にワシの翼が伸びています。

左下のはくちょう座のデネブは、白鳥のシッポのところの星です。デネブは「尾」という意味です。デネブから、ベガとアルタイルの中間へと星が並んでいて、これらが白鳥の長い首を表わしています。途中で左右に羽が伸びて、大きな十字を描いています。これを「北十字」とよぶこともあります。

さそり座

さそり座

さそり座。クリックで拡大(ムック「星座入門」より)

さそり座は「黄道十二星座」のひとつで、10月24日〜11月21日生まれの人の誕生星座となっています。だからほとんどの人がさそり座の名前を知っているでしょう。でもさそり座をちゃんと見た人はそんなにいないかもしれません。それは、日本ではさそり座が南の空の低いところにあるので、南側に建物や山があると隠れてしまい、また、夜中には沈んでしまうからでしょう。

初夏の21時ごろ、南空のちょっと低いところを見ると、すぐに赤くて明るい星が見つかります。これがサソリの心臓の星アンタレスです。そこから左下の方に、2等星や3等星が曲がりながら並んでいて、大きな「S」字のカーブを描いています。これらがサソリの胴体とシッポで、シッポの先にはちゃんと毒針の形にもうひとつ明るい星がついています。いつどのあたりに見えるのかさえわかれば、さそり座はわりと見つけやすい星座です。

アンタレスの名前の由来は「アンチ・アーレス」で「火星に対抗するもの」という意味です。これは、さそり座が黄道の上にあるので、ときどき火星がこのあたりを通過することがあり、そのとき、赤い火星と、赤いサソリの心臓が競うように並ぶことから、こういう名前が付けられたそうです。もっとも、今年アンタレスのとなりには火星ではなく、木星があります。木星はとても明るく、黄色い色をしていてよく目立つので、さすがのアンタレスもかないません。

また、さそり座のまわりには、天の川の濃いところなので、たくさんの星団が見つかります。アンタレスのすぐ横にある球状星団M4や、M6とM7が並んでいるところなどは、双眼鏡でも観察できるでしょう。

いて座

いて座

いて座。クリックで拡大(ムック「星座入門」より)

いて座は「黄道十二星座」のひとつで、11月22日〜12月21日生まれの人の誕生星座となっています。「いて(射手)」とは弓矢を射る人のことです。

7、8月の23時ごろか、8月から9月の20時ごろ、南の空の低いところを見ると、6つの星が「北斗七星」に似た形に並んでいるのが見つかります。これがいて座の目印。中国では、この「ヒシャク」の形を「南斗六星」とよびました。西洋では、南斗六星を「ミルクディッパー(ミルクさじ)」と呼んでいました。また、南斗六星と近くの星を結んでみると、「ティーポット」の形が出来上がります。西洋ではこのティーポットを目印として使っていることが多いようです。

「いて座」は、地球から見て、銀河系の中心の方向にあります。そのため、このあたりの天の川がもっとも濃く明るく見え、星雲や星団も多く見つかります。とくに散光星雲M8(干潟星雲)とM20(三裂星雲)が並んでいるのは絶景といえます。

ヘルクレス座

ヘルクレス座

ヘルクレス座。クリックで拡大(ムック「星座入門」より)

夏の夜空を見上げると、天頂(頭の真上)をはさんで、左(東側)にこと座のベガ、右(西側)にうしかい座のアルクトゥールスが輝いています。どちらも1等星なので、すぐに見つかるでしょう。この2つの星の真ん中あたりに、6つの星が「H」の形に並んでいるのが見つかります。ここがヘルクレスの腰の部分で、さか立ちをしたかっこうになっています。星座絵で、ヘルクレスが左手に持っているのは、2番目の冒険で手に入れたヒドラの頭です。

ヘルクレス座は北半球で最大の球状星団、M13があることでも有名です。

もっと知りたい方のために

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