土星を見よう(2013年)
2013年春から夏にかけて、土星が見ごろをむかえます。ふだんは図鑑やニュースの写真でしか目にすることのない環(リング)を、自分の目で見てみませんか? 小さな望遠鏡でのぞいたり、近くの天文台や科学館へ足を運ぶだけでじゅうぶんです。
土星の見つけ方
土星はおよそ30年かけて星座の星々の間を移動するので、見かけの位置は毎年少しずつ変化していきます。2013年は4月29日に土星が衝、つまり地球から見て太陽と正反対方向に位置します。この時期の土星は真夜中に一番高く上りますが、5月以降は少しずつ早い時間に上るため、観望しやすくなるでしょう。
土星は0等前後と比較的明るく、黄色みを帯びているのが特徴です。2013年にはすぐ西におとめ座の白い1等星スピカが輝いているので目印にしましょう。北の空に高く上っているひしゃくの形、北斗七星の取っ手が描くカーブを伸ばすと、うしかい座のアルクトゥールス(オレンジ色の明るい星)を通ってスピカにたどりつきます。このカーブは春の大曲線とも呼ばれます。
また、スピカとアルクトゥールスに加え、しし座の2等星デネボラを結ぶと春の大三角というきれいな正三角形が作れます。
土星自体の星座の中での動きはあまり大きくありません。ほかの春の星座とともに、夏になると日が沈んだ時点で南から西にかけての空に現れるようになり、初秋には西の空低くへ移動します。こうなると2013年の土星観望シーズンもほぼ終わりですが、フィナーレにはほかの天体との「競演」が待っています。
9月には「宵の明星」金星が夕方の空で存在感を見せるようになり、9月9日に土星、細い月、金星が並びます。金星と土星は9月19日に最接近を迎え、この前後の1週間程度は双眼鏡の同一視野に見えます。
10月7日には三日月と土星が低空で再び接近し、さらに下には水星も輝いています。水星まで見るには、西の地平線付近まで見える場所で双眼鏡を使って観察した方がよさそうです。
環や衛星を見てみよう
土星と言えば美しい環(リング)が見ものです。肉眼では見えませんが、口径5cm程度の天体望遠鏡があれば環の存在を確認できます。
土星の環はDVDのような一枚の板ではなく、内側から外側へと何重にも環が重なっていて、間にはすきまもあります。カッシーニの間隙と呼ばれる大きなすきまは口径10cmの天体望遠鏡でも見ることができます。ちなみに土星には木星のガリレオ衛星ほど明るい衛星はありませんが、土星最大の衛星タイタンは8等級なので、天体望遠鏡を使えば見ることができます。土星本体が明るいので、土星から離れているときを狙って観察するのがよいでしょう。
天体望遠鏡の口径が大きくなれば、レアやテチスなど10等級前後の衛星も見えてきます。お近くの科学館などで大きめの天体望遠鏡をのぞく機会があれば、土星本体だけでなくその周りにも要注目です。衛星の位置は数時間で変化するので、事前に「ステラナビゲータ」でシミュレーションして見え方を確認しておきましょう。詳しい手順はこのページ下部の「ステラナビゲータ」で土星の環の傾きを再現へ。
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「ステラナビゲータ」は、あらゆる天文現象を正確にシミュレーションできるWindows用天文ソフトです。日時や観測場所に応じて土星の動きや見える位置を確かめたり、環の傾きや衛星の動きを調べたりすることもできます。
土星関連グッズ:望遠鏡やムックなど
土星の場所も環の見え方もわかったら、いよいよ実際に観察してみましょう。自分の天体望遠鏡で好きなときに土星を見てみたいと思ったら、アストロアーツのオンラインショップを覗いてみてください。目的や予算に応じて、さまざまな機種をラインアップしています。
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