まず、しし群の時期に日本のどこが晴れやすいのでしょうか? 天気の統計データをあたってみました。
● 11月の日平均雲量
下図は、日本の気象官署の累年気候データより、11月の日平均雲量が2.5未満の日数をカウントしその出現率を地図に落としたものです。雲量とは全天の何割が雲に覆われているかを示す指数のこと。まったく雲がないときが0、全天雲のときが10となります。雲量2.5とは全天の1/4が雲に覆われている状態です。逆にいえば、この図は1日平均で全天の3/4は空が見えている日が、11月にどのくらいの確率でやってくるかを示したものといえましょう。
その結果を見ると、延岡(37.2%)、秩父、浜松、都城、宮崎、釧路、広尾、前橋、潮岬、伊良湖、熊谷(以下30.8%)、尾鷲、高知などなど、上位には太平洋側の地点がずらりと並びます。11月を通しての日平均雲量からは、九州南部の太平洋岸、北海道の道南・道東の太平洋側、関東地方の内陸部、東海道などで雲が少ない確率が高くなっています。反対に、日本海側の地点は曇ることが多いようです。よくみると、関東地方では前橋、熊谷など内陸側のほうが出現率が高いことから、統計的には脊梁山脈のすぐ風下側をねらうのがよいかもしれません。
● 11月の日平均雲量が2.5未満の日の出現率
日平均雲量が2.5未満の日数を11月の日数(30日)で割り、その出現率を求めた。統計期間は1961〜93年。地点はその中で20年以上の観測がある気象官署144地点(父島と南鳥島を除く)。データは気象庁年報より。
日平均で全天の3/4以上で空が見える確率が高いのは、九州と北海道の太平洋側、東海道〜南紀、関東の内陸部だ。脊梁山脈のすぐ風下側をねらうのがよいかもしれない。
● しし群がもっとも流れる時間帯 − 11月18日3時の雲量
以上は11月全体のそれも日平均のデータでしたが、今度はもう少し突っ込んで、統計を取る時間を、日本でしし群がもっとも多く流れるとみられる、11月18日3時に限ってみるとどうなるでしょうか? 今度は条件をやや甘くして雲量5、つまり全天の半分は空が見える確率を調べてみました。このくらいの雲量までが流星観望できる限界でしょう。統計期間は1961〜96年の36年間。うち、20年以上観測が行われた地点を選んでいます。
その結果は、やはりおおまかな傾向は先ほどと同様で、しし群がもっともよく見られる日のいちばんよく見られる時間に限っても、やはり太平洋側が晴れやすく日本海側で曇りやすいことには変わりないようです。細かくみると、北日本ではその傾向はハッキリしていますが、西に行くにつれ太平洋側と日本海側の差が小さくなる傾向が見受けられます。11月18日3時に雲量5以下になる確率が高い地点を並べると、根室(63.9%)、宮古、厳原、帯広、宇都宮、尾鷲、前橋(以下52.8%)、神戸、釧路、潮岬、松山、徳島、大分、室戸岬となりました。
しかしながら、それら上位の“晴れやすい”地点でも、その確率は50%程度に過ぎません。確率50%、つまり2年に1度は晴れる地点は全国の1/3程度しかありません。したがって、単純に晴れやすいところに行けば確実に晴れ間をモノにできる、というわけにはいかないのです。
● 11月18日3時の雲量が5以下の日の出現率
日本でしし群がもっとも多く流れるとみられる11月18日3時の雲量が5以下の日の出現率。統計期間は1961〜96年の35年間。地点はその中で20年以上の観測のある気象官署78地点。データは気象庁月報より。
しし群がもっとも流れるとみられる時間に限定しても、だいたいの傾向は11月の日平均と同じ。ただし、北日本ではその傾向はハッキリしていますが、西に行くにつれ太平洋側と日本海側の差が小さくなっているようです。