Part-1に書いたように、晴天率のよいところに行けば確実にしし群が見られるものではありません。実際の天気は、高・低気圧や前線などに対して、観測地点がとのような位置関係にあるか、それによるところが大きいのです。したがって、まずは、しし群の日の気圧配置のパターンを見極める必要があります。
そこで、しし群の日、11月17〜18日の気圧配置を過去57年分調べてみました。
日本付近の気圧配置は、次の6つのパターンに分類されます(yoshino,kai(1974), Inst. of Geoscience, Univ. of Tuskubaより)。西高東低(冬型)、気圧の谷(低気圧)、移動性高気圧、前線(停滞前線)、南高北低(夏型)、台風です。この他に、これらの移行型・中間型とこれらの結合型の分類がありますが、今回は移行・結合型としてまとめました。
● しし群出現日の気圧配置の出現率(1941〜98年)
西高東低、気圧の谷、移動性高気圧の出現率上位3パターンでほぼ3等分されていることがわかります。気圧配置型の分類法と1941〜70年のデータはyoshino,kai(1974)による。1971〜80年はyoshino,yamakawa(1984)、1981〜98年は筆者の判定による。文献はInst. of Geoscience, Univ of Tuskubaより。
この結果を見ると、しし群の11月17日と18日を平均すれば、低気圧通過と移動性高気圧に覆われる確率がほぼ等しく約30%、西高東低の冬型になる確率が25%ちょうど。前線が停滞する確率が約6%でした。夏型や台風襲来はこの時期ほぼ無視してよいようです。
ですので、おおまかにいえば、しし群の日の気圧配置は、西高東低、気圧の谷、移動性高気圧の出現率上位3パターンでほぼ3等分されている、と覚えておくのがよいでしょう。
一般的に、気圧の谷通過と前線停滞時には悪天、移動性高気圧に覆われるときは秋晴れの晴天です。また、冬型の場合は太平洋側で晴天、日本海側で悪天のことが多いのは、みなさんもご存知のことでしょう。以上のことを考えあわせれば、しし群の日に“晴れる気圧配置”となる確率は、日本海側で移動性高気圧型のみの約30%、太平洋側ではそれに冬型の約25%がプラスされた約55%となります。さきほどのしし群の日に太平洋側のほうが晴れやすいという傾向は、太平洋側ではこの冬型の晴天の分のプラスがあるためといえます。