太陽でも起こるかもしれない「スーパーフレア」
【2019年6月14日 コロラド大学ボルダー校】
太陽の大気で発生する爆発現象である「フレア」では、磁気エネルギーが解放されて莫大な光や熱が放出される。大規模なフレアが発生すると地球付近にも影響が及ぶことがあり、オーロラが見られたり、人工衛星や通信、送電施設に被害が生じたりする。
太陽以外の恒星でもフレアは発生しており、記録に残る最強の太陽フレアの数百倍から数千倍ものエネルギーを発する「スーパーフレア」を起こすものもある。こうしたスーパーフレアは、ほぼ若く活発な星にしか起こらず、太陽では発生しないと考えられてきた。
米・コロラド大学ボルダー校の野津湧太さんたちの研究チームは、ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星「ガイア」や米・アパッチポイント天文台の観測データから、太陽と同タイプの恒星で発生した43現象のスーパーフレアを統計的に調べた。その結果、若い星ほどスーパーフレアを起こしやすいが、誕生から46億年経った太陽のような星でも全く起こらないわけではないという結論が導かれた。
野津さんによれば、若い星は毎週のようにスーパーフレアを起こすのに対し、太陽のような星の場合は数千年に1回ほどだが、今後100年間で起こる可能性はゼロではないという。
「1000年前なら太陽でスーパーフレアが起こったとしてもきれいなオーロラが見られるぐらいで大した問題はなかったでしょう。しかし電子機器に囲まれた現代の生活には深刻なダメージとなります」(野津さん)。
〈参照〉
- CU Boulder Today:Rare ‘superflares’ could one day threaten Earth
- The Astrophysical Journal:Do Kepler Superflare Stars Really Include Slowly Rotating Sun-like Stars? - Results Using APO 3.5 m Telescope Spectroscopic Observations and Gaia-DR2 Data 論文
〈関連リンク〉
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