深層学習でオーロラの出現を自動検知

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深層学習を使い、ノルウェー・トロムソのオーロラの出現を自動的にとらえるシステムが開発された。過去画像の解析からオーロラの年度別・時間帯別の出現傾向も示されている。

【2022年6月8日 電気通信大学

これまで、オーロラの研究者が使用する観測カメラはモノクロのものが多かった。その一方で、最近では市販のデジタルカメラのみならずスマートフォンでもオーロラを撮影できるようになっており、一般の方々がカラーでとらえたオーロラの画像が研究に役立てられることも多い。

電気通信大学の南條壮汰さんたちの国際共同研究チームは、このように研究者以外の人々が貢献する「市民科学」をサポートするために、オーロラの発生を自動的に検出して通知するシステムを開発した。

南條さんたちはまず、先行研究を発展させ、過去の観測画像を目視で確認し、それぞれをオーロラの出現状態に応じて8クラスに手動で振り分けた。こうして手動で分類したデータを使ってAIに深層学習(ディープラーニング)を行った結果、AIは初めて見る空を平均93%の精度で正しいクラスに分類できるようになった。

オーロラの出現状態を分類した8つのクラス
オーロラの出現状態(出現していない状態も含む)を分類した8つのクラス。画像クリックで表示拡大(提供:電気通信大学リリース、以下同)

研究チームは全天カメラの画像とAIによる判定結果をリアルタイムで表示し、オーロラが発生すると通知するウェブアプリ「Tromsø AI(トロムソ・アイ)」を開発、公開している(5~8月はオフシーズンのためリアルタイムのデータは見られない)。

Tromsø AI
オーロラ出現時の「Tromsø AI」のスクリーンショット

このAIで2011年9月から2021年3月までにノルウェー・トロムソに設置されている全天デジタルカメラで撮影された約553万枚の画像全てを解析したところ、2015年度の発生率が高いことがわかった。太陽活動の極大は2014年4月ごろだったので、オーロラの出現ピークは太陽活動が減衰し始めたころだったと言える。また、オーロラが増えるのは冬至前後よりも春や秋、時間帯は22~23時ごろといった傾向も示された。

解析結果
(左)年度別、月別のオーロラ発生率。赤は発生率が高く、青は低い。年度別では2015年度の発生率が高く、月別では12月の発生率が低い/(右)10年間の観測可能クラス枚数の時間分布。爆発オーロラは現地時間の日付変更前ごろが多いことがわかる(夕方と明け方は季節により日照の影響が大きくなるため枚数が少ない)

研究チームは今後、観測地点を増やすことでより広い範囲でのオーロラ発生状況をサポートしたいとしており、今年の秋からはスウェーデン・キルナでも同様のサービスを提供する予定だ。

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