「ものさし」を組み合わせて宇宙膨張の過去と未来を明らかに
【2023年8月25日 国立天文台】
宇宙が膨張していること自体は十分に立証されているが、その膨張速度を正確に測定することは難しい。宇宙膨張の歴史を知るためには、様々な天体までの距離と、その天体が私たちから遠ざかる速度を調べる必要がある。このうち距離については、真の明るさを求められるようなタイプの天体を見つけて、見かけが明るければ近く、暗ければ遠いという方法で判定されている。
このように距離を測る「ものさし」として使える天体は「標準光源」と呼ばれる。しかし、標準光源として特定の種類の天体だけを選ぶと測定できる距離の範囲が限られてしまうほか、選んだ標準光源の種類によって、宇宙膨張に影響する宇宙論パラメーターの計算結果が変わってしまうという問題があった。
国立天文台のMaria Giovanna Dainottiさんたちの研究チームは、Ia型超新星、クエーサー、ガンマ線バーストといった、異なる距離をカバーする複数の標準光源を組み合わせ、新しい統計的手法を用いて宇宙論パラメーターを計算した。その結果、主要なパラメーターであるハッブル定数の不確かさを最大で35%も減らすことに成功した。
今回得られた、より正確な宇宙論パラメーターから、宇宙が永久に膨張し続けるのか、それとも最終的に収縮に転じるのか、宇宙の将来を明らかにできると期待される。
〈参照〉
- 国立天文台:宇宙の過去と未来を書き換える
- The Astrophysical Journal:論文
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