日食を利用、太陽光がオゾンへ与える影響を調査
【2015年6月17日 JAXA】
太陽の明るさの変化は地球大気中のオゾンにどのような影響を与えるだろうか。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の今井弘二さんらの共同研究チームは、国際宇宙ステーションに搭載の装置「超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(SMILES)」で観測した高精度のデータを利用して、2010年1月15日に起こった日食時のオゾン量の変化を調べた。
すると、月の影で暗くなっている地域では、明るい地域に比べて中間圏のオゾン量が多くなっていること、またその変化の様子は地表からの高度によって異なっていることがわかった。
大気中のオゾン量は様々な要因で決まる。この観測研究は、日食を利用することによって太陽の明るさの変化という要因だけの影響を示すことができた、重要な成果だ。
研究チームはオゾン量を決める他の要因についても調査中である。オゾン減少は全世界的な環境問題であり、その量の時間変化や回復の見込みは重要な研究テーマだ。SMILESのデータ解析から、大気中のオゾン生成と破壊のメカニズムの解明が進み、大気中のオゾン量の回復時期について正確な予測ができるようになると期待されている。
〈参照〉
- JAXA: 日食を利用して太陽光が大気中のオゾンへ与える影響を調査
- Geophysical Research Letters: SMILES observations of mesospheric ozone during the solar eclipse 論文
〈関連リンク〉
〈関連ニュース〉
- 2010/01/13 - 1月15日に起こる部分日食
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